(17日、第106回全国高校野球選手権西東京大会4回戦 東海大菅生5―4東村山西)

 相手が優勝候補だろうが、大会初出場だろうが関係ない。全力で勝負するだけ――。東村山西のエースで4番の主将、内野大翔(3年)はこの夏、最後までそんな姿を貫き通した。

 17日の相手は第1シード、東海大菅生。下位まで大柄な選手が並ぶ打線は、「かなりの圧を感じ、怖かった」。だから、打者はなるべく見ず、捕手のミットだけをめがけて腕を振った。「全て三振くらいの強い気持ちで」。

 130キロ台の直球で胸元をえぐりつつ、時には外に変化球を沈める。157球を投げきり、1度もビッグイニングをつくらせなかった。

 打っても4打数2安打と気を吐き、東海大菅生をあと一歩のところまで追いつめた。石田幹雄監督は「去年からさらに直球が良くなり、代える気はなかった」とたたえた。

 東村山西は7日の2回戦。特別支援学校として初めて大会に単独出場した青鳥(せいちょう)特別支援と戦った。内野は66点リードの五回にマウンドにあがったが、この時も真っ向勝負だった。14球全て直球を投じ、三者連続三振で試合を締めた。

 劣勢の青鳥を応援しようと、ボールになるたびにスタンドが拍手をする異様な雰囲気だった。それでも、「特に気にならなかった。手を抜かずに全力で行くだけなので」。ひたむきに投げる姿にSNSは「かっこよかった」「爽やか」という声であふれた。

 全てで力を出し尽くしたからこそ、優勝候補相手に一歩も引かない試合ができたと思う。「負けたけど、楽しかったです。やりきりました」。力投した内野に試合後、スタンドから大きな拍手が送られていた。=スリーボンド八王子(吉村駿)

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