(15日、第106回全国高校野球選手権岡山大会1回戦 岡山工2―0岡山朝日)
一回表、試合開始の第1球。岡山朝日の寺田康高(3年)は大きくふりかぶった。高校野球でもほとんど見なくなったワインドアップ。春の地区予選で敗退した後に採り入れたという。
「彼の場合、上半身から始動した方が下半身も動くと感じた」と勧めた飯田圭介監督。寺田も「力が抜けて制球が安定しました」と効果を語る。先頭打者を143キロの直球で三振に取り、以降も140キロ台を連発して、六回までで7奪三振、与四球1の無安打無得点。圧巻の滑り出しだった。
ただ、味方打線も岡山工の時本琥一朗(3年)に抑え込まれ、0-0のまま延長タイブレークに。十回表、1死二、三塁とされ、相手4番の大橋斗輝(3年)への2球目が真ん中へ。「力で勝負しようと、気持ちが先走ってしまった」。中堅の頭上を抜かれて2点を失い、味方は無得点のまま。被安打3、13奪三振の力投は報われなかった。
183センチ、89キロの大型右腕。大正10(1921)年に岡山から初めて全国大会に進み、今年創立150周年を迎えた県内屈指の進学校で、1年秋からエースナンバーを背負う。昨秋の地区予選では、今春の選抜大会に出場した創志学園の中野光琉(ひかる)(3年)と投げ合い、1-2で敗れたが完投。注目度を高めていた。「チームに申し訳ない。切り替えるのにちょっと時間がかかるかもしれない」。語尾が震えた。
大学でさらに上のレベルの投手を目指す。「まっすぐで抑えるのがロマンがあってかっこいい。小さい子が憧れるような投手になって、4年後にドラフト1位でプロに入りたい」(大野宏)
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