第106回全国高校野球選手権愛媛大会は、7月13日に開幕し、55校の48チームが出場する。一つの目的に向かって力を合わせる、個性豊かな選手らの姿を紹介する。

吉田・木野下朋哉選手

 愛媛県宇和島市の県立吉田高校野球部の一塁手、木野下朋哉選手(3年)は外野手だった昨春、投手の牽制(けんせい)で頭から帰塁する際、利き腕の右肩を脱臼した。その後も再発を繰り返した。

 週3回通院し、再発を防ぐため、体の奥の筋肉を鍛えてストレッチに励んだ。塁間程度の送球はできるようになったが、遠投はまだできない。

 足の速さはチーム一。持久力も備えている。部員全員で50メートル走10本を競っても、トップを一度も譲らない。打球を飛ばすパワーもある。投げられなかった間の鍛錬でさらに増した。試合には代走や代打で出場。代打本塁打を放ったこともある。

 長所を生かそうという松本富繁監督(52)の考えで昨秋、一塁手にポジション変更した。初めて経験する一塁守備だったが、懸命に練習を重ねて動きを覚えていった。

 肩をかばうせいか腕が縮こまり、力強い送球はできない。「強くなくても良いところに送球し、取れるアウトを確実に取る」。その分、走塁と打撃で勝利に貢献したい。課題の積極性とミート力の向上をめざし、汗を流している。

 一塁の守備がようやくさまになってきた。主将として、この夏を迎える。チームに突出した選手はいないが、みんなが役割を自覚している。

 「試合に出られない時期が長かった。高校最後やし、試合に出られたら開き直って、ミスとかを気にせずやりたい」(中川壮)

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