(13日、第106回全国高校野球選手権熊本大会2回戦、熊本19―1鹿本)

 「先制点を取って、2回戦の壁を突破したい」。一回裏、2死一、三塁。鹿本の境蓮司選手(3年)がたたいた直球は三遊間を抜けていった。伊藤均監督が「とにかくまじめで一生懸命」と評する。この日、普段はしないガッツポーズが思わず出た。

 鹿本は選手13人。5人の3年生は皆、山鹿市の選抜チームで一緒にプレーした。中学生の頃から知る仲間思いのチームで、1、2年時の成績を超えたい、と備えてきた。

 チームは雨上がりのグラウンドへの対応や、積極的にバットを振る熊本打線に苦しみ、二回に逆転され、その後、点差も開いた。

 ただ、「苦しい表情をするより、楽しんだほうがいい」。うつむきそうになる選手には3年生を中心に「顔を上げていけ」と声をかけた。最終回となった五回に上がったマウンドにも、笑顔で臨んだ。

 目標の勝利には届かなかった。「正直、悔いは残るんですけど、自分なりのプレーはできた」。8人になる後輩たちにも「何事も、みんなで一丸になって」と願っている。(杉浦奈実)

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