(13日、第106回全国高校野球選手権兵庫大会2回戦 神戸弘陵6―1飾磨工)

 神戸弘陵の中堅手がグラブを懸命に伸ばしたが、打球は頭上を越えていった。

 スコアボードに「H」のランプがともり、マウンドにいた村上泰斗(3年)は悔しそうに笑った。

 九回1死まで無安打無得点。あとアウト二つのところで初安打を許し、ノーヒットノーラン達成とはならなかった。

 その後に1点を失い、「これが今の実力だと思います」と村上。それでも、「チームを勝ちに導くというのが1番の目標だった。初戦に勝ててよかったと思います」と充実した表情を見せた。

 最速153キロを誇るプロ注目右腕だ。中学まで捕手だったが、肩の強さ、腕の振りの速さを見込んだ岡本博公監督から投手転向を打診された。

 一から投球フォームを作り上げた。特に、プロの投手を動画で熱心に研究した。「直球は藤川球児、スライダーは山本由伸」などと理想のイメージを作り、トレーニングも意欲的にこなした。

 この日、球場には複数のスカウトが視察に訪れ、スカウトのスピードガンでは149キロを計測した。村上は七回に3者連続三振を記録。直球、カーブ、カットボールだけで11三振を奪い、圧巻の投球を披露した。

 「力を抜けるところは抜き、入れるところは入れるのが自分の持ち味」。115球を投げたが、「連投でも大丈夫」というほど疲労感はないという。

 岡本監督は「一生懸命に同じことを継続してできる子ですし、 研究熱心で向上心をすごく感じる。まだまだ伸びる子」と太鼓判を押す。

 152チームが出場する激戦区の兵庫大会。注目の右腕が好スタートを切った。=明石トーカロ(室田賢)

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