(12日、第106回全国高校野球選手権南北海道大会1回戦、札幌大谷10―1知内)

 右脚を頭よりも高くあげ、振り下ろす遠心力を利用して全身をしならせ、左腕を振り抜く。知内の新井田匠投手(3年)が「体を大きく使わないと投手として生き残れない」と、身長162センチの体格を補うために体得した投球フォームだ。

 木古内町出身。中学時代、函館市内の進学校で勉強しようと思っていたが、吉川英昭監督から誘われて知内に来た。

 二つ先輩に坂本拓己投手(現ヤクルト)ら、投手だけで20人以上いた。エースを勝ち取るために武器にしたのがダイナミックなフォーム。そして真っ向勝負が身上だ。

 4回を投げ9失点したが、吉川監督は「強者を相手に逃げずに立ち向かってくれた。見ていて感じるものがあった」と評価した。試合後、吉川監督と握手を交わし、「知内に来てよかったか?」と声を掛けられた。「はい」とこたえると、強気の表情が一転して涙があふれた。(佐々木洋輔)

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