(10日、高校野球青森大会1回戦、大間6―2八戸東)
最後の打者を右飛に打ち取ると、ようやくほおが緩んだ。大間のエース・松山大翔投手は3人しかいない3年生のうちの1人。捕手の根戸内一心主将、遊撃手の冨岡陽聖選手とともにチームを引っ張ってきた。
この日は、後輩たちに助けられた。初回に渋谷泰生選手(2年)の適時打で先制。「あの1本で楽になりました。ムードメーカーで、頼りになるやつです」。五回に二塁打で追加点を奪うと、九回は自らの犠飛などで4点を挙げ、リードを広げた。
だが、ピンチは最終回にやってきた。自身の失策などで2点を失い、なおも1死三塁。弱気の虫が出そうになったが、また仲間たちに助けられた。「大丈夫。点差あるから」。気持ちを切りかえ、アウトを一つずつ取ることに集中。最後までマウンドを守り、後続を打ち取った。
昨秋から投げ始めた緩いカーブと直球を使い分け、持ち味の打たせて取る投球がさえた。往年の名投手・村田兆治さんの「マサカリ投法」をほうふつとさせるダイナミックな投球フォームは2週間ほど前に採り入れたばかりだが、「うまくハマりました」。
どうやったら打者を打ち取れるかを考え、試行錯誤した。「いろいろ試してみるのが好きなんです」。尾形洋紀監督はそうした研究熱心な姿に、「野球が大好きなんだなって感じます」と目を細める。
夏の初戦の自己採点は「85点」。勝利にも反省の言葉が次々と口をついた。「最終回(の投球)に詰めの甘さが出た。連打を浴びてのエラーは気の緩みです」
2回戦では、2年連続で夏の青森大会を制した八戸学院光星と対戦する。「自分たちがどこまで戦えるのか、最後までやりきりたい。次も完投します」。どうやったら強敵を倒せるか、エースの試行錯誤は続く。(野田佑介)
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