(8日、全国高校野球選手権広島大会1回戦 武田10―2熊野)
流れを渡さないバックホーム。熊野の左翼手・神田響生(ひびき)選手(3年)の好送球に球場が沸いた。
四回2死二塁、武田の2番打者・山本盛世歩(じょせふ)選手(同)が引っ張った打球は、神田選手の前に転がってきた。
「少し浅かったので、勢いよく1歩目を踏み出しました」。球を拾い上げると、二塁走者は三塁ベースを蹴っていた。助走の勢いのまま、思い切り本塁へ投げ込んだ。
その瞬間、いけると直感した。球はワンバウンドして、捕手のミットに。走者はタッチアウト。笑顔でベンチに引き返した。「三塁側からの歓声がうれしかったです」
中学時代は陸上部で、兄を追って熊野野球部に入った。「走り高跳びで鍛えた脚力や瞬発力が、バックホームにも生きた」という好プレーに、岡田和之介監督は「3年の意地を見ました。ベストボールでした」とたたえた。
二塁走者がかえれば10点差となり、5回コールド負けに近づく場面だった。窮地を逃れた熊野はその後、1点を返したが、7回コールド負け。神田選手は「自分の足でもっと貢献したかったです」と悔しがった。(根本快)
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