高志館は夏の大会9年ぶりの勝利に手をかけていた。序盤に4点リード、1点差に迫られた七回には追加点を奪った。江頭克騎主将(3年)は「流れが来たと思ったんですが、最後に持っていかれて……」と悔やんだ。

 3年生は3人。昨年の新チーム発足時は主力6人がいた2年生から主将が選ばれた。ところが、1カ月ほどして、交代で主将に指名されたのが江頭選手だった。「2年生には荷が重かったようで、やってみてわかりました」と振り返る。

 副島浩史監督(35)は「3年生が一生懸命やってくれたから今のチームがある。勝たせてあげたかった」。江頭主将の存在も大きかったはずだが、「自分は言える人ではない。副島先生が自分に注意し、それを伝えていく上で少しは成長できたかな」と謙遜するように言った。

 チームの風向きが変わったのは昨春だ。江頭主将は「前の先生から『(新しい監督に)すごい人が来る』みたいに言われたが、実際に来たら、普通の先生でした。何か話題になり、動画で調べたら、満塁ホームラン打った人じゃんって。驚きました」。全国制覇した佐賀北の主力で、選手権決勝で逆転満塁本塁打を記録した副島監督が唐津工から転任してきた。今春は監督を慕うように1年生12人が入部、選手21人となり夏の大会にベンチ入りできない選手も出て競争を生んだ。

 副島監督は「去年より悔し涙を流している子が多い。その悔しさを来年にぶつけてほしい」と期待し、江頭主将も「1、2年は力がある。来年は絶対1勝できる」と言い切った。託されたのは、佐賀北が全国制覇した2007年度生まれの2年生たちだ。(森田博志)

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。