天才――。10代の頃にそう評されたのが懐かしい。世代を飛び越えて将来を期待されたラガーマンが30歳を前に代表に戻ってきた。29日に秩父宮ラグビー場で行われるラグビーのリポビタンDチャレンジカップ、マオリ・オールブラックス戦に、スタンドオフ(SO)で先発出場する日本代表の山沢拓也選手(29)=埼玉パナソニックワイルドナイツ。「魅了して勝つ」をピッチ上で体現する司令塔だ。
久々の桜のジャージーだった。日本代表のエディー・ジョーンズ・ヘッドコーチ(HC)の復帰初戦となった22日のイングランド戦。後半15分に約1年半ぶりとなる代表戦のピッチに立ち、トライを挙げた。国立競技場で4万4000人を超える観客から大声援を受け、「歓声自体は聞こえていました。うれしかったです」と懐かしそうに振り返った。
高校生で日本代表合宿へ
山沢選手は2012年、深谷高(埼玉)で3年時に当時のジョーンズHCの目に留まり、日本代表合宿に呼ばれた。筑波大4年時にはパナソニックに加入し、史上初となる大学生の旧トップリーグ選手にもなった。魅力は正確で多彩なキックと走力を生かした相手の裏をかくプレー。ただ、左膝など度重なるケガに苦しむ期間も長かった。日本代表で力を発揮しきれず、代表キャップ数は7にとどまる。ワールドカップ(W杯)出場経験もない。
それでも「一つ一つの練習を無駄にせず、本当に一生懸命やって自分の成長につなげたい」と向上心に衰えはなかった。ファンからは日本代表の司令塔としての待望論もあるが、本人は「自分のペースでやれたらいいなと思います」と言う。
3年後のW杯オーストラリア大会へのメンバー入りについても「現時点では意欲とかは全く(ない)」と冷静に振る舞う。2度目となる「エディー・ジャパン」での再出発。あくまでマイペースに活躍のチャンスをうかがう。【角田直哉】
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