第106回全国高校野球選手権福島大会の1、2回戦の球場と日時が26日に発表された。7月12日に県営あづま球場である開幕試合は福島東―小高産業技術のカードに決まった。ブロックごとに見どころを紹介する。(酒本友紀子)

春の福島県大会で4連覇を果たし喜ぶ聖光学院の選手たち。福島大会では3連覇を目指す=2024年5月26日、白河グリーンスタジアム、滝口信之撮影
福島大会の組み合わせ

《Aブロック》地力に勝る聖光学院 日大東北も頂点狙う

 激戦の様相だが、3連覇を狙う聖光学院が地力で勝る。昨秋と今春の県大会で優勝し、春の東北大会で選抜8強の青森山田に善戦したことは記憶に新しい。直球に威力がある古宇田烈、東北大会で力投した高野結羽(ゆう)の両右腕が安定。打順は調子によって入れ替えるほど層が厚い。県大会で打率7割5分の先頭・竹田一遥をはじめ、木村秀明、佐藤羅天(らま)ら、どこからでも好機をつくれる。

 3年ぶりの頂点を狙うのが日大東北。好機に強い渡辺俊介、投打で引っ張る奈須優輝を中心にまとまる。冬場に合宿を重ね、技術力の向上をはかった。福島商はひと冬を越え、振る力がついた。今春の支部大会は聖光学院相手に延長の末、1点差での惜敗だった。いわき湯本は春先にけがで主力が欠けたが、競争が生まれチーム力が上がった。会津学鳳はエースで中軸の嶋内慧の活躍が鍵を握る。

《Bブロック》学法石川が軸 田村も期待

 今春の選抜大会に出場し、優勝校相手に善戦した学法石川が一歩リードする。選抜の直前に足を負傷していた投打の要・大栄利哉がスタメンに戻った。正捕手としてマスクをかぶる可能性もある。その一方、選抜で好投し存在感を示した2年佐藤翼がけがで離脱。チームは立て直しを迫られたが、大栄が本調子になれば波に乗るだろう。

投打の要としてチームを引っ張る学法石川の大栄利哉=2024年5月25日、白河グリーンスタジアム、滝口信之撮影

 県中と県北の出身者が多く占める田村。山本知輝(かずき)―国分紘也は中学時代からバッテリーを組み、古内颯悟(そうご)・侑悟(ゆうご)の双子がともにスタメン入りする。今春に監督が代わったばかりだが、気心知れた選手らのチーム力に期待だ。

 白河のエース金沢拓夢は左の本格派。制球力と安定感に優れ、大会注目投手の1人だ。昨夏4強の郡山やふたば未来学園といった力のある県立勢もひしめく。

《Cブロック》光南と相馬 好投手で臨む

 光南は昨秋と今春の県大会で準優勝し、いずれも東北大会を経験した。左腕の大越来夢(らいむ)は140キロ台中盤の直球とスライダーで三振が取れる。右下手投げの国井大翔は直球と変化球を内外に投げ分け打者を翻弄(ほんろう)する。春の県大会では4試合で計48安打38得点と、主軸の近藤寛俊を中心に打線は爆発力がある。

光南のエース大越来夢は140キロ台中盤の直球が持ち味の注目の左腕だ=2024年5月26日、白河グリーンスタジアム、滝口信之撮影

 相馬のエース宝佑真は、制球力と緩急使った投球が光る注目投手だ。チームは中学時代に軟式野球の県大会優勝メンバーが多く占める。その1人、関颯汰(はやた)はリードオフマンとしてチームを勢いづける。双子の華汰(かなた)も中軸としてチームを支える。相楽拓人と菅田龍乃介の左右2枚看板の福島成蹊はノーシードから上位をうかがう。須賀川創英館の左腕エース善方(ぜんぽう)空翔(そらと)は多彩な変化球で三振を奪う。3年ぶりに出場する福島高専の戦いぶりにも注目だ。

《Dブロック》機動力の磐城 東日大昌平は総合力

 今春の県大会4強の古豪・磐城は、粘り強いスリークオーターの今泉岳陽、長身から投げ下ろす右腕の山田柊児、シンカーが武器の右下手投げ篠木瑛ら投手陣が多彩。守りから攻撃リズムをつくり「機動力野球」に持ち込む。頭で考えるだけでなく直感や積極性を生かし、合言葉に「ワイルド・ベースボール」を掲げる。

磐城は中軸の村田一真を中心に「ワイルド・ベースボール」を掲げる=2024年5月25日、白河グリーンスタジアム、滝口信之撮影

 総合力が高い東日大昌平も有力だ。桑名悠馬は140キロ超の直球で打者を圧倒。山口和志や佐藤界翔ら強打者ぞろいで、県内トップ級の攻撃力を誇る。鈴木翔太らムードメーカーの内野陣が好プレーでもり立てる。新監督のもと自主性を重んじた練習を重ね、仕上がりは上々だ。

 会津北嶺は昨季の富山紘之進(現ロッテ)のような中心選手はいないが、190センチの長身から角度ある球を投げる渡辺新がおり侮れない。

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