(26日、第106回全国高校野球選手権南北海道大会函館地区Cブロック2回戦 函館商1―2函館大有斗)
残酷な結末だった。しかし、函館商が培ってきた「丁寧で辛抱強い野球」を見せ、全国選手権7回出場の函館大有斗を苦しめた。
武藤一球主将(3年)には「あらゆる面で相手の方がレベルが上」だとわかっていた。父親の一成監督のプランは「3人の継投で九回まで戦い、1点差で勝つ」だった。
1点を先行されていた七回、3人目の西村健汰投手(3年)は2死から三塁打を打たれたが、4番打者を三振に抑え、踏みとどまった。
迎えた八回の攻撃は、武藤主将が犠打で得点圏に走者を進め、辻歩夢選手(3年)が狙い球のスライダーを強振し、左中間を破る同点二塁打を放った。2人とも「これを逃せばチャンスはない」と臨み、役割を果たした。
だが、九回裏2死満塁の重圧は大きかった。捕手の辻選手は西村投手に「リラックスしよう」と声をかけた。だが、「力んでしまった」と西村投手が投じたこの試合の57球目が、サヨナラの押し出し死球となった。
部員は12人。3年生9人が引退すると、1898(明治31)年創部の古豪は単独チームが組めない。武藤主将は「八回に追いつけたことはチームの集大成。後輩にはこれまでやってきたことが無駄ではなかったと思って、チームを背負っていってほしい」とエールを送った。(野田一郎)
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