政治資金規正法の改正をめぐり与野党が対立する中、岸田首相が公明・維新と党首会談を行った。国会記者会館から、フジテレビ政治部・自民党担当の木村祐太キャップがお伝えする。

党首会談では、岸田首相が公明の案を丸のみし、加えて野党である維新の案も受け入れることを伝えた。

まず公明党の山口代表との会談では、岸田首相がパーティ―券の購入者の公開基準について、「10万円超」としてきた自民党の案を取り下げ、公明党が求めてきた「5万円超」とすることを伝えた。

また、政党から議員に支給される政策活動費についても、公明党の主張を受け入れ、第三者機関の設置を行う方針を示した。

一方、日本維新の会の馬場代表との会談では、政策活動費について、10年後に領収書を公開するとした維新の案を受け入れるなどとした合意文書を交わした。岸田首相が示した修正案を整理する。

政治資金パーティー券を買った人の公開基準について、自民党の元の案では「10万円超」としていたが、岸田首相は、これを公明・維新が主張する「5万円超」に譲った。

また、政策活動費については、公明党が示していた「第三者機関を設置してチェックする案」、維新が示していた「10年後に領収書を公開すること」も受け入れた。

あらためてフジテレビ政治部・自民党担当の木村祐太キャップに聞く。

──なぜ今回、野党の維新にも岸田首相は譲歩した形になった?
今回の議論は、自民党の裏金問題が発端となっただけに、与野党双方から、野党の意見も受け入れるべきだという意見があったから。
法案の審議に携わっている自民党の議員も「世論を考えた」と話している。
もう1つ、将来の維新との連携も視野に入れているのではないかという観測も出ている。
一方、維新を取り込むことで、野党を分断する狙いもあった。

──今後の法改正の流れはどうなる見通しか?
自民党としては、3日から審議をはじめ、4日には衆議院を通過させて、参議院での審議に移りたい考え。
今の国会の会期は残り1カ月を切っており、岸田首相は周辺に対し、公明党案を丸のみしたことについて、「会期内に法案を成立させなければいけない。そのために必要だった」と話している。
ただ、自民党内ではハレーションも生まれている。
修正に反対する党幹部との亀裂を懸念する声が上がるほか、協議にあたった現場の議員からは「総理がはしごを外した。今までの議論はなんだったんだ」との怒りが噴出している。
岸田流のトップダウンは、実務を担う調整役がいない現状の裏返しともいえ、岸田首相の足もとはさらに揺らぐ可能性がある。

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