福岡県議会は30日、県議の公費を使った海外視察のあり方を見直すプロジェクトチーム(PT)を設置した。一部の県議が4月にアフリカを視察した際、急きょ訪問先を追加し多額の負担が生じたにもかかわらず、費用や成果などを公表せずに批判が集まっていた。6月下旬までに答申案をまとめ、その後、必要な規則改正などをする。
30日の県議会代表者会議で香原勝司議長(自民)が提案し、了承された。PTは主要会派の代表ら10人がメンバーとなり、週明けにも第1回会合を実施する。高額な旅費を抑えるルール作りを議論するほか、視察報告書や費用を公表する仕組みがない現行の運用を見直す方針だ。
PT設置の背景にあるのが、4月11~19日に6泊9日で実施されたアフリカ視察だ。県議会の重鎮、蔵内勇夫県議(自民)が次期会長に決まった世界獣医師会の大会が南アフリカ・ケープタウンで開催されたことなどから日程が組まれ、香原議長ら自民会派幹部ら5人と議会事務局職員5人の計10人が公費派遣された。
2月定例会では、ケニアと南アフリカの2カ国を訪問すると説明していたが、その後、予定になかった中東のアラブ首長国連邦・ドバイを訪問していたことが判明。県関係者によると、旅費は1200万円以上に上ったとされる。
だが、県議会は視察費の総額は「精査中」として公開を拒んでおり、1カ月半が経過しても県民が公費の使い道を検証できない状態が続いている。服部誠太郎知事も14日の定例記者会見で「県議会の海外出張は私の目から見ても課題がある」と異例の注文を付けた。
毎日新聞が九州・山口・沖縄の12の県と政令市の議会に確認したところ、多くが視察費の上限を設定し、報告書の作成やホームページでの公開を独自に定めるが、いずれも未対応なのは福岡県議会のみだった。
政治資金に詳しい日本大の岩井奉信名誉教授(政治学)は「テーマを定めて海外視察に行くことは否定しないが、公費で行ったからにはその成果を有権者に開示するのが基本。費用を公表しなければ住民は費用対効果を検証できない」と指摘する。【城島勇人】
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