静岡県議会の中沢公彦議長に退職届を提出する川勝平太知事(奥)=静岡市の県議会議長室で2024年4月10日、最上和喜撮影

 静岡県の川勝平太知事(75)は10日、県議会の中沢公彦議長に退職届を提出した。その後の定例記者会見では、辞職を前倒しした理由について「私の発言によって県民に大変なご迷惑がかかっている。県政の空白を短くするということで今日提出した」と語った。辞職に伴う知事選は5月9日告示、26日投開票となる見通し。

 川勝氏は今月1日の県庁の新入職員への訓示で「県庁はシンクタンク。野菜を売ったり牛の世話をしたり、モノを作ったりとかと違って基本的に皆さま方は頭脳、知性の高い方たち」などと発言。職業差別に当たるとの批判が高まり、2日に6月の県議会で辞職する意向を表明。その後、この発言を撤回していた。

 川勝氏は10日の記者会見で、時折笑顔を見せつつ、歴史上の人物や格言を引きながら約1時間にわたり持論を展開。原稿を読まずに歯に衣(きぬ)着せぬ物言いをする「川勝節」は健在だったが、記者の質問とかみ合わない場面も目立った。

 寄せられた批判に対しては「私の言動のせいで静岡県が厳しいことを言われる。なるべく早く去ることが県民のためになる」と説明。2021年に同県御殿場市について「(特産は)コシヒカリしかない」とやゆし、県議会から辞職勧告決議を受けたことを挙げて「既に退路を断っていたので、いつでも辞任する覚悟はできていた」と述べた。

 また、辞職決断の最大の理由としてリニア中央新幹線の27年開業断念を挙げたことに関連し、リニア事業そのものについての見解を問われると「日本の技術の最先端。推進派から外れたことはない。ただ、南アルプス(の環境保全)と両立しないといけない」との立場を説明した。

 次の知事選については「候補者がすぐに出てきたのはありがたい。それぞれの候補の政策をよく聞いて、投票率が高まることを期待したい」と述べるにとどめた。【最上和喜、丹野恒一】

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