政治資金規正法改正案を巡る審議が本格化した衆院政治改革特別委員会=国会内で2024年5月23日午前9時34分、和田大典撮影

 衆院の政治改革特別委員会は23日、自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を受けた各党の政治資金規正法改正案に関する初の質疑を行った。政党から議員個人に支出され、使途公開の義務がない政策活動費の改革について、自民党案には領収書の保存義務も公開義務もないと自民側が説明。野党は反発を強めた。

 自民案の提出者である鈴木馨祐氏は、自民案で「政治資金を巡る政治家の言い逃れを完全になくす」と表明。自民案は裏金事件の再発防止に十分な効果が見込めるとの認識を示した。

 一方で政策活動費を巡り、自民案では政党からの支出が1件あたり50万円を超える場合の大まかな項目別の支出額しか公開対象としなかったことについて鈴木氏は「外交の関係などさまざま、使途の公開になじまないものも正直ある」と説明した。その上で「私どもの改正法案で領収書等を保存する義務を課すことはしていない」と言及。領収書の公開も行わないとした。

 日本維新の会の青柳仁士氏が「例えば(政党が)選挙関係費1億円と言って書いても、法律上は許容されるのか」と問うと、自民の勝目康氏は「項目ごとの金額を公表することにしている」と認めた。青柳氏は「何も透明化されない」と憤りをあらわにした。

 立憲民主党の質問者である柚木道義氏も、情報開示に後ろ向きな自民の姿勢に「やましい(ことがある)のか」などと憤ったが、自民側の対応は変わらなかった。

 政治資金パーティー券購入者の公開基準額が自民案では野党案より緩い「10万円超」であることを巡り、自民の藤井比早之氏は、パーティー券収入は寄付とは異なり、対価としての性格を持つと指摘。「10万円超」としたのは「きりがよく、基準として分かりやすい」ためだと説明した。

 公明党を含む他党が更なる基準額引き下げを主張していることについて、藤井氏は「引き下げすぎると、公に知られることなく政治に参加することが困難となる」などと主張。「公に知られてもよいと参加される方は、特定の組織、団体等であることが多く、その結果、国会議員の活動が特定の組織や団体等に過度に依存することになりかねない」とも語った。

 自民はまた、野党側が求める企業・団体献金の廃止について、「政党等が量的、質的制限の範囲内で寄付をいただくこと自体が不適切であるとは考えていない」(鈴木氏)とする立場を改めて強調した。

 質疑は24日にも行われる。【樋口淳也】

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