使途の公開義務のない「政策活動費」を例外なく廃止する政治改革関連3法が24日、参院本会議で賛成多数で可決、成立した。政策活動費は2026年1月1日から廃止する。企業・団体献金を禁止するかどうかは与野党で一致できず、25年3月まで結論を先送りした。
石破茂首相は自民党派閥を巡る政治資金問題への対処を急ぐため、臨時国会での成立をめざしていた。同問題を早く幕引きし、25年夏に控える東京都議選や参院選への波及を避けたいとの思惑がある。
少数与党となった自民党の国会対応が注目されたが、野党の主張を多く反映することで国会閉会日の成立にこぎ着けた。成果を優先し、仕組みの詳細で詰まっていない部分も残る。
採決では自民党や公明党、立憲民主党、日本維新の会、国民民主党などが賛成した。
政治資金規正法の再改正を含む3法は①政策活動費の廃止②政治資金を監視する第三者機関の設置③外国人によるパーティー券購入の禁止など――を柱とする。
政策活動費は政党が所属する政治家個人へ支給する政治資金を指す。これまで受け取った政治家側に使途公開の義務はなかった。党勢拡大や政策立案、調査研究などを名目に使うことになっていたが透明性が低く「ブラックボックス」との批判があった。
自民党は当初、外交上の機密やプライバシー保護などを理由に非公表にできる「公開方法工夫支出」の新設を主張していた。野党の反発を受けて撤回し、例外なく廃止する案を受け入れた。
第三者機関の新設には政治資金全般の使途を監視する目的がある。
国会に「政治資金監視委員会」を設置し、政治資金収支報告書に虚偽の記載や記載漏れの訂正を求める権限を与える。監視に必要な資料も要求できる。委員は衆参両院の合同協議会が推薦し衆参両院の議長が任命する。具体的な体制などの詳細はこれから詰める。
国民民主と公明党が共同で提出した法律を自民党や立民なども支持した。与党の公明党が連立を組む自民党抜きで野党と共同提出するのは異例だ。公明党は独自案を準備していたが法案提出に必要な議員数を確保できず単独での提出を断念した。
外国人のパーティー券購入禁止などは自民党案を主な野党も支持した。購入者に書面で外国人は認めない旨を告知するよう義務づける。規正法は外国勢力が国政に影響を与えないため外国人による寄付を禁止しており、足並みをそろえた。
罰則規定は議論を続ける。外国人だと知らずに販売してしまう場合も想定され、慎重な検討が必要だと判断した。
改正規正法には政治資金収支報告書のデータベース化に向けた環境整備も明記した。収支報告書をPDFにしてネットで閲覧できるようにし、献金した企業・団体の名前や支出項目別の検索も可能とする。一般に閲覧や検索をしやすくして透明化につなげる。
24日閉会した臨時国会は政治とカネを巡る対応が主なテーマとなった。
20日に歳費法を改正し、国会議員に月額100万円支給される調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)の使途公開と残金の国庫返納を決めた。
衆参の政治倫理審査会は収支報告書の不記載問題があった旧安倍派や旧二階派の議員の審査を公開で開いた。
企業・団体献金の是非は結論を持ち越すなど課題も残る。
自民党は引き続き必要だとの姿勢を崩していない。立民案は禁止対象から政治団体を除き、労働組合に関係する政治団体からの献金を可能とする道を残す。維新や国民民主、共産党は例外なく禁止を主張しており、議論の集約は見通せない。
【政治改革法ミニ解説】
- ・政治資金「ブラックボックス」の元凶 政策活動費、廃止へ
- ・収支報告書閲覧にネット検索機能 企業献金は結論先送り
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