2024年の宮城県は、初めて女性議員が誕生した町や議会中に議員がスマートフォンでゲームをしていたという前代未聞の問題まで、地方議会の話題が目立ちました。
大郷町 田中学町長
「批判ばっかりしていたって何もできませんよ!できる人がいるんだったらやってほしいよ!」
町民に熱弁をふるった大郷町の田中学町長。
大郷町 田中学町長
「農業だけでは飯食えないけど、農地は大郷町を救うことができる。それが今計画しているこの事業なんですよ」
大郷町が京都市の企業と手を組んで打ち出した「スマートスポーツパーク構想」。町内にサッカーグラウンド12面と宿泊施設など国内最大級のスポーツ施設を整備する計画です。過疎化・高齢化が進む町の命運を賭けたとも言えるこの構想を巡り、町は揺れました。
賛成する町民
「この町に足りないもの、それを補う事業として必要な事業だと思っています」
反対する町民
「サッカーに町の命運をかけるのはギャンブルです」
町民への説明会では賛否の意見がぶつかり合う事態に。そして、町議会は運営企業の財務状況が悪いことなどを理由に関連予算案を2度、否決しました。
大郷町議
「もっと時間をかけて、総事業費がいくらかかるのかをきちんと出してもらいたい」
すると、町長は直接、町民に是非を問うと「住民アンケート」を実施。その結果、構想に肯定的な意見が否定的な意見を上回りましたが、この結果を巡って、またもや議会は紛糾しました。
大郷町議
「無回答、イコール私の場合『無関心』と取っているんですけれども。回答なしの3657人、その件については目をつぶっているのでしょうか」
大郷町 田中学町長
「異論もないよということだから、無回答だというふうに私は信じているんですよ。何か不満があれば、このように反対、賛成という回答出しますよ。そういうことなんです、民主主義というのは」
大郷町議
「計画がまだ設計の段階で、はっきりしていない段階でアンケート調査は早いのではないかという話をしている。おかしくないですかね」
大郷町 田中学町長
「決してこのアンケートは無駄なものではない。今後、未来に絶対必要だ」
大郷町は、今年度中に再び予算案を議会に提出する方針です。
記者リポート
「大河原町議会では議員の1人が議会中にスマートフォンでゲームをしているところを小学生が発見し、その後辞職する事態が発生しました」
議会を見学した小学生の感想文で明らかになったこの問題。議会は問題の議員に対し「辞職勧告決議」を行ないました。
大河原町議
「恥ずべき行為。いかなる理由があっても絶対に許されない」
議員の緊張感が問われたこの問題。小学生の感想文には「居眠りをしている議員がいた」とも書かれていましたが、そちらはおとがめ無し。議員の中から疑問の声も上がりました。
大河原町議
「子供に何て説明したら良いんですか?ゲームはダメで、居眠りは容認。おとがめなしでは説明がつかない」
大河原町議会は9月、政治倫理の向上に関する決議を全会一致で可決。議長は一連の騒動が他の議員にとっても「襟を正す」きっかけになったと話します。
大河原町議会 岡崎隆議長
「傍聴者がいないときでも気になるような行動をする態度の議員も国会を見てもいますけども、そういうちょっと町民が見て『はてな?』と思うような行動は極端に少なくなったので、私は良い方向に改善されたと思っております」
蔵王町議会では歴史的な出来事が。町の誕生から約70年、これまで女性が立候補することもなかった町議会選挙で3人の女性が当選しました。
蔵王町議会 今千佳議員(トップ当選)
「ようやく町に女性を受け入れていただけるという風が吹いてきたんだな」
初当選した一人、藤澤麻衣子議員(41)。小学生の娘を持つ母親として、子育て支援の充実を訴えました。当選後、すべての議会で一般質問に立つなど、積極的な姿勢で成果も出しています。
蔵王町議会 藤澤麻衣子議員
「こちらが新しく作っていただいた授乳室です」
この授乳室は、藤澤議員の提案を受けて設置されました。
蔵王町議会 藤澤麻衣子議員
「蔵王町内に授乳室が一切なくて車で隠れて授乳するという経験をしたんです。遠刈田にはたくさん観光客がいらっしゃると思うんですけど、そこの拠点となる場所に一か所も無いというのはどうなんだろうって」
「子育てに優しい町」をうたう蔵王町。藤澤さんはその中で母親として感じる課題を解決していきたいと考えています。
蔵王町議会 藤澤麻衣子議員
「今まで声が上がってなかっただけで、やっぱりニーズはあって、それにすぐ対応してくれる町だということがわかりました」
今月の議会でも「町内の保育所におけるおむつのサブスク化」を提案しました。議会には確実に、新たな風が吹き始めています。
蔵王町 村上英人町長
「女性の視線で(議論することは)今までなかったことで議会が活性化してきています。とても良い雰囲気の1年でした」
私たちの暮らしに最も身近な政治の場、地方議会。緊張感と多様性が改めて問われた一年だったとも言えそうです。
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