キーワードを足がかりに2024年の秋田県内の出来事を振り返る企画、今回のキーワードは「進か退か」です。建設地がようやく決まった新スタジアムに、事業者選定に向けた入札が滞った新県立体育館。そして、新たな形で進もうとする銀行の合併をまとめました。
〈新県立体育館〉
増額にまた増額。秋田県の佐竹知事も「困っちゃったな」と頭を抱えたのは、新県立体育館です。
新県立体育館は、バスケットボールB1秋田ノーザンハピネッツの本拠地となる予定で、その整備が2026年に開幕する新しいトップリーグ「Bプレミア」に参入する条件の1つです。
整備費は当初170億円と試算。その後、30億円増額の200億円に。維持管理費と運営費を盛り込んだ総事業費254億円で7月に公告しましたが、資材価格や人件費などが膨れ上がり、参加予定だった全ての業者が辞退しました。
佐竹知事は「困っちゃったな。額が半端じゃない。もう東京と同じくらいの単価じゃないと地方もできない」と報道陣に訴え、頭を悩ませていました。
入札を再度公告するために110億円を増額した補正予算案は、20日の12月県議会で可決。当初の予定の1.8倍にまで膨れ上がりました。
〈銀行が広域合併へ〉
フィデアホールディングスの傘下、秋田市にある北都銀行と山形に本店を置く荘内銀行が2027年1月に合併し、行名を「フィデア銀行」とすることが決まりました。
合併後の初代頭取には、北都銀行の佐藤敬専務執行役員を抜擢。佐藤氏は秋田・大仙市出身の52歳で、2025年4月に両行の頭取を兼務する形で就任し、全国の地方銀行では最年少の頭取となる見通しです。
佐藤氏は記者会見で「両頭取から大変重いバトンを受け取ることになったと思っています。地域のお客さまから信頼を得られるように、選んでいただけるように、両頭取の力も借りながら、フィデアグループの総力を挙げて、全力で取り組んでまいりたいと思います」と決意を語りました。
「北都」の名称がなくなることについては、北都銀行の伊藤新頭取が「やはり心情的には『北都』という名前がなくなるのは非常に寂しい。われわれは広域として秋田・山形を礎にやっていくことに変わりはない。色々悩んだが、今回の選択は非常にいい判断だと思っている」と述べました。
〈新スタジアム&外旭川地区まちづくり〉
2024年にひときわ注目を集めたのが、新スタジアムと秋田市外旭川地区のまちづくり事業のニュースでした。
秋田市の11月市議会で、「新スタジアムの整備場所について県とも合意できたことから、早期整備に向け、今後は事業主体や整備手法などについて3者で協議していきたい」と述べ、建設候補地が八橋運動公園に決まったことを明らかにした穂積市長。7年余りの紆余曲折を経て、ようやく決着したのが新スタジアムです。
議論は2017年、J3だったブラウブリッツが、J2基準を満たすスタジアムの整備に向けて県と秋田市に署名を提出したのが始まりです。
候補地は、八橋運動公園など3カ所が挙げられましたが、八橋の整備は困難とされ、穂積市長は外旭川地区を提案しました。
市長肝いりの政策「外旭川地区まちづくり事業」。核の1つの新スタジアムは当初、農地に配置する計画でした。
ところが、県議会の総括審査で佐竹知事が「若干これから問題発言になります」と前置きした上で「農地、そこは軟弱地盤です。7~8年かかる」と発言。知事が難色を示したことで、秋田市は代替案を提示しましたが県の同意は得られず、議論は平行線をたどりました。
事態が急転したのが6月でした。穂積市長が「八橋について色々な意見があるので、排除しないで考えていく。可能性は追求してみる」と述べ、再び八橋運動公園を候補地に挙げました。
その後、県とクラブが合意し、建設地の議論に終止符が打たれました。
穂積市長は12月、多くの支援者の前で「いろんな批判をいただいております、外旭川についても、新スタジアムについても。県も市もブラウブリッツもJリーグも、これらをすり合わせていかなければいけない中で、これだけの時間がかかったということを皆さまにもご理解をいただきたい」と述べています。
スタジアムは、核を失った外旭川地区のまちづくり事業は、そして市民の目は。穂積市長が出馬する秋田市長選は2025年4月です。
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