石破茂首相の内密出産法制化に関する答弁について所感を語る熊本市の大西一史市長(左)=熊本市中央区の市役所で2024年12月20日、中村敦茂撮影

 予期せぬ妊娠に悩む女性が病院のみに身元を明かして子どもを産む「内密出産」を巡り、石破茂首相が国会で法制化の検討について言及した。これを受け熊本市の大西一史市長は20日、「非常に大きな一歩だ」と期待感を示した。内密出産は国内では唯一、熊本市の慈恵病院が取り組んでいる。

 石破首相は17日の参院予算委員会で、法制化を訴えた伊藤孝恵議員(国民民主党)に対し「赤ちゃんの権利、人権を最大限に重んずる法体系ができないか。政府部内において検討させたい」と答弁した。

 慈恵病院は乳児の遺棄・殺人を防ごうと2019年に内密出産の制度を導入。21年12月以降、24年11月までの3年で38事例があった。国は22年にガイドラインを公表し戸籍作成の手順などを示したものの、子どもの「出自を知る権利」を保障するために重要な母親の身元情報の管理や開示の方法などは医療機関任せとなっている。

 大西市長は20日の記者会見で「一自治体、一病院で解決する問題ではない」「38例という多くの事例にもかかわらず、全国的な関心が広がっていない」などと指摘。「具体的な法制化に向けた議論が進むことを期待したい」と語った。【中村敦茂】

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