政治資金規正法に関する実務者協議に臨む自民党の鈴木馨祐氏(右)と公明党の中野洋昌氏=衆院第2議員会館で2024年5月7日午後6時1分、平田明浩撮影

 自民、公明両党は7日、政治資金パーティー裏金事件を受けた政治資金規正法改正の実務者会合を再開し、政党から政治家個人に支出される「政策活動費」のあり方などを巡って協議した。自民内では使用目的ごとに政策活動費の支出額を政党が開示する案が浮上。公開により積極的な公明とは溝があるとされ、週内の与党案とりまとめに向け8日に再協議する。

 政策活動費は政党から党幹部ら政治家個人に支出され、受け取った政治家側は使途を開示する義務はない。裏金事件を機に二階俊博元幹事長が在任中の5年間に約50億円を受け取っていたことなどが注目され、野党は廃止を求めている。

 政策活動費改革について自民が4月にまとめた案では検討項目にとどまっていたが、岸田文雄首相は6日、自民実務者メンバーの鈴木馨祐衆院議員らを首相公邸に呼び、公開を検討するよう指示。4月28日の衆院3補欠選挙で不戦敗を含めて自民が全敗し危機感を強めたことが背景にあるとみられ、関係者によると具体的な公開の手法として、政党から政治家個人に支出した際、「調査研究」「党勢拡大」などおおまかな使途ごとに金額を公表する案が模索されているという。

 一方、公明はより厳格な使途公開の義務化を主張している。議員側が「明細書」を作成し、政党の会計責任者が政治資金収支報告書とともに提出する案を公表しており、自民がどこまで詳細に使途公開に応じるかが焦点となる。

 自公は政治団体間で資金を移動させることで、使途の公開を免れる行為の規制強化策についても協議した。パーティー券購入者の公開基準の引き下げについて公明は公開基準を現行の20万円超から5万円超への引き下げを提案、自民内では「10万円超」にとどめる案があがっている。

 自民の鈴木氏は会合後、記者団に政策活動費や公開基準の引き下げなど「積み残しの課題」について協議したと説明した上で、「距離を縮めている段階なので個別具体的な言及は控えたい」と述べるにとどめた。

 首相は7日、首相官邸で記者団に、6日の鈴木氏らとの面会時、「今週中にも(与党案の)とりまとめを行うよう、協議を加速することを指示した」と語った。協議の詳細については「まさに自公で協議を行っているところで、私の方から具体的に申し上げることは控えたい。今国会中の改正の実現に向けて全力で取り組んでいきたい」と述べるにとどめた。【高橋祐貴、野間口陽】

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