参院予算委で答弁する石破首相(17日午前)

政府の経済対策を裏付ける2024年度補正予算が17日の参院本会議で、自民、公明両党や国民民主党、日本維新の会などの賛成多数で可決、成立した。一般会計の歳出総額で13兆9433億円を計上した。物価上昇に伴う家計の負担増を軽減するため、電気・ガス料金への補助を25年1月から時限的に再開する。

補正予算の規模は前年度の13兆1992億円を上回る。歳入は半分近くにあたる6兆6900億円を新規に国債を発行して賄う。

補正予算の大部分は経済対策に充てる。政府は成立を受けて速やかに実行する。

経済対策の3本柱の1つとして挙げた「物価高の克服」に3兆3897億円を計上した。電気・ガス料金への補助を25年1月に再開し、3月まで実施する。家庭の電力使用量が最も多くなる冬季に絞って対応する。

ガソリン料金を抑える補助金は25年1月以降も続け、価格上限を1リットル185円程度にする。物価高の影響を特に受ける住民税の非課税世帯に1世帯あたり3万円を支給する。子育て世帯は子ども1人あたり2万円を加算する。

もう一つの柱の「日本経済・地方経済の成長」は全体の4割ほどを占める5兆7505億円を計上した。賃上げに向けた環境整備のほか、半導体や人工知能(AI)といった先端技術の開発や設備投資計画を支援する。

補正予算案は衆院審議で立憲民主党の要求に配慮し一部修正した。能登半島の被災地復興の関連予算に予備費から1000億円を充当した。衆院での予算案の修正、可決は28年ぶりだった。

10月の衆院選で自民、公明両党は大敗し、過半数を割り込んだ。与党だけでは予算案や法案を可決できない少数与党の石破政権にとって、補正予算の成立に野党の合意を取り付ける必要があった。

国民民主は所得税の非課税枠「年収103万円の壁」を25年に引き上げると与党と合意し、賛成に回った。国民民主は最低賃金の伸び率を根拠に178万円への引き上げを求めている。

自民、公明、国民民主3党の税制調査会長は17日に国会内で会談した。自公は25年に123万円とする案を上回る引き上げ幅を示さず、国民民主の税調幹部は協議の打ち切りに言及した。

維新は重要施策に掲げる教育無償化の実現に向けて、与党と協議体の設置で一致したことを踏まえて賛成に回った。19日に自公維3党の実務者による協議を開く見通しだ。

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