東京電力は12月16日に原子力規制委員会で開かれた「特定原子力施設監視・評価検討会」で、福島第一原子力発電所の廃炉におけるリスク低減の取り組みについて、5項目を「現状の設定から目標時期を見直す可能性がある」と報告した。

このうち、地下水などが燃料デブリに触れて発生した「汚染水」から多くの放射性物質を取り除き「処理水」にする過程で生じる「スラリー」と呼ばれる泥状の物質(沈殿物が水に混ざったもの)について、脱水の開始目標時期は「2026年度」から「2028年度」に見直す方針。

このスラリーは、同じく汚染水の処理過程で生じた「放射性物質をこしとったフィルター」などとともに専用の容器に入れて保管されているが、高い線量となっているうえ、保管スペースが限られていることから、スラリーを脱水して量を減らす「減容化」の必要に迫られている。
東京電力はスラリーの処理設備を設置する建屋の耐震設計をする過程で、建屋の規模が拡大したため工事期間を見直すとしていて、脱水開始は2028年末となる見通し。

東京電力はこのほかにも、
■水処理過程で発生した「スラッジ」と呼ばれる廃棄物の回収着手:1年遅れ
■廃棄物を減容化するための溶融設備の設置:2年遅れ
■建屋にたまる滞留水からアルファ核種を取り除く作業の開始:2年遅れ
■1号機と3号機の耐震性向上のための水位低下:1年遅れ
と、全部で5項目の目標時期の見直し可能性を挙げたが、「10年後(2033年度まで)に実現すべき姿に変更はない」としている。

国と東京電力は福島第一原発について2051年までの廃炉を掲げている。

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