鹿児島県警の一連の不祥事をめぐり、16日、県議会の総務警察委員会に県警の幹部職員3人が招致されました。
出席したのは、前の首席監察官、前の霧島警察署長、前の刑事企画課長の3人です。
現役の複数の県警幹部が、警察官による盗撮事件やストーカー事案の対応について質疑に応じる異例の展開となった、16日の委員会を振り返ります。
16日の県議会の総務警察委員会に参考人招致された1人目は、上別府高宏、前首席監察官です。
上別府前首席監察官は、枕崎署員による盗撮事件の際に、県警の野川明輝前本部長と、当時の枕崎署長の間の連絡を担っていました。
その中で、野川前本部長が「枕崎署で捜査を尽くすよう」指示をしたものの、枕崎署長には「捜査を中止する」と誤った内容で伝わり、捜査が2日間中断しました。
この事件をめぐっては、情報漏えいで逮捕・起訴された前の生活安全部長、本田尚志被告が野川明輝前本部長による隠ぺいを訴えていて、野川前本部長はこれを否定しています。
上別府前首席監察官は、情報が誤って伝わった経緯を次のように説明しました。
鹿児島県警 前首席監察官(現 鹿児島中央署長)・上別府高宏 氏
「(県警)職員を被疑者とする捜索差し押さえ等の強制捜査は、本部長指揮事件でなければできないので『もしかすると署員が被疑者の可能性がある』と思っていた前署長は、自分の指揮で捜査ができないのであれば『署では捜査することができない』と、感じ取ったのではないか」
2人目は南茂昭、前霧島署長です。
2023年2月に、当時の霧島署員がクリーニング店の女性にストーカーを行った事案についての質問が行われました。
この事案では、防犯カメラの映像が消去されたことが明らかになっていますが、その経緯について南前署長は、当初、事案をストーカーと認識しなかった為に、カメラの映像を事件の証拠品として取り扱わず、捜査員が事実確認の為の資料として扱ったと説明しました。
鹿児島県警 前霧島署長(現 県警生活安全部部長)・南茂昭 氏
「(捜査員が)監察事案と認識して不必要なものについては、他の車の映り込みや人の映り込み、プライバシーに関することがあるので必要な部分だけを静止画に残した」
「私の指示ミス。しっかりと確認すればよかったなと反省点」
議員
「ビデオの証拠を消すという、重大な問題について1人でやったと。あまりにもずさんなのでは」
最後に3人目の参考人は川崎清、前刑事企画課長です。
川崎前課長は2023年10月、警察職員に配布された文書に、捜査資料の廃棄を促す不適切な表現があったことについて謝罪し、配布について次のように述べました。
鹿児島県警 前刑事企画課長(現 県警警務部参事官)・川崎清 氏
「決裁の過程で私自身を始め、それぞれの決裁者において十分な精査・検討が行われていなかったことが最大の要因」
議員
「文書に対する取り扱いの感覚は、県警としてどうなっているのか?」
鹿児島県警 前刑事企画課長(現 県警警務部参事官)・川崎清 氏
「警察にとって不利な証拠であっても有利な証拠であっても検察庁に送致すべきだと。必要性があるうちは適切に保管・管理をして、しっかり裁判に対応できるように準備をしておかなければならないものだと認識を持っている」
参考人招致は約5時間半行われました。
総務警察委員会では、さらに参考人を招致する必要があるかなど、今後も審査を継続することにしています。
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