会談に臨む自民党の坂本哲志国対委員長(左)と立憲民主党の笠浩史国対委員長=国会内で2024年12月16日午後2時56分、平田明浩撮影

 自民、立憲民主両党は16日、「政治とカネ」の問題を受けた政治改革関連法案を巡り、使途公開が不要な「政策活動費」を全面廃止することで合意した。自民が野党7党の提出法案に賛成し、一部を非公開にできる「公開方法工夫支出」の導入は断念する。一方、企業・団体献金の禁止については来年3月末までに「結論を得る」として先送りする。政策活動費廃止を盛り込んだ野党の政治資金規正法改正案などは17日に衆院通過し、今国会で成立する見通しとなった。

 両党の国対委員長が国会内で会談し、合意した。自民の坂本哲志氏は会談後、公開方法工夫支出について「これを撤回してでも政策活動費を廃止するのは、政治改革に対する一つの前進だ」と説明。立憲の笠浩史氏は「野党がそろって政策活動費の完全な廃止を求めたことが、このような結果を導いた」と強調した。

 自民は今月9日、政策活動費を廃止する一方、議員外交などの費用を公開方法工夫支出として一部非公開にできる法案を提出した。野党から「新たなブラックボックスになる」との批判を受け、自民は条文から削除した上、今後の検討事項として付則に盛り込む修正案を示していた。

 しかし、今国会の会期末が21日に迫る中、与党の公明党からも賛同を得られず、自民案から政策活動費に関する条項を丸ごと削除し、野党案に賛成する異例の事態に追い込まれた。森山裕幹事長は16日の記者会見で「各会派のご理解をいただけなければ、どうしようもない」と述べ、少数与党が法案を通す難しさに言及した。

 自民は16日、政治資金を監査する第三者機関についても、公開方法工夫支出のみを監査するとしていた自民案を撤回。国民民主、公明両党が共同提出した法案に賛成する方針を示した。両党案は国会議員関係政治団体の政治資金をチェックする第三者機関を国会に設置するとしている。

 一方、衆院議院運営委員会は16日の理事会で、国会議員に月100万円支給される調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)の使途公開などを義務付けた歳費法改正案について、17日の本会議で採決する日程を決めた。今国会で成立する見込み。【森口沙織、池田直】

政治改革関連法案を巡る自民・立憲の合意

・政策活動費は廃止

・自民案の「公開方法工夫支出」は盛り込まず

・企業・団体献金禁止は来年3月末までに結論

・第三者機関は公明・国民民主案に賛成の方向

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