衆議院岡山3区選出の加藤勝信財務相(69)に迫るシリーズの2回目です。経歴に裏付けられた政策通としての実力を持っていて、財務省のトップはまさに適役と言えます。

11月22日、東京の財務省に出勤する加藤財務相。テレビ番組の取材対応など慌ただしく仕事をこなすとすぐに昼時となりました。足を運ぶのは、庁内にある職員向けの食堂です。

(加藤勝信財務相と秘書官)
「いただきます」

選んだのは、日替わり定食の「鶏の香味揚げ」。

(加藤勝信財務相)
(Q:この食堂はよく利用している)
「こっち(庁舎)にいる時は手頃で近いし(利用している)」

現在、69歳の加藤財務相。東京大学経済学部を卒業し、1979年に入ったのが財務省の前身の大蔵省でした。国の財布を管理し国家の根幹をなす重要な役所で、威厳ある庁舎は1953年に竣工しました。加藤財務相は1995年に退官するまで、予算を編成する花形部署・主計局などで活躍しました。

(加藤勝信財務相)
「ほとんど風景は私がいた30年、40年前とか、40年以上前ですかね。多分辞めた30年くらい前とほとんど変わってないですよね」

2024年の秋、発足した石破茂内閣で再入閣した加藤財務相。自民党の衆議院議員として、官房長官などを歴任し自公政権の要職を務めてきましたが、古巣、財務省のトップになるのは初めて。財政の専門家として「経済あっての財政」という信念を持ちつつ謙虚な姿勢で臨みます。

(加藤勝信財務相)
「古巣といっても私がいたころは大蔵省。大蔵省で辞めたので財務省としては初めて。そういう意味では常に初心忘れることなく対応していきたい。昔はこうだったからではなく時代は変わっているから、今の状況をしっかり認識し必要な対策、必要な対応を取っていく」

政策通の異名は、官僚経験だけから来るものではありません。岡山選出の衆議院議員として2024年10月に8選を果たした加藤大臣。これまで旧岡山5区を地盤に人口減少に悩む地方の現状を研究。今回1票の格差是正による区割りの変更で、過疎化がより深刻な岡山県北を含む岡山3区が地盤となりました。地盤は県土の7割に広がり、地方の課題解決にはさらに高い意識を持っています。

(加藤勝信財務相)
「災害が少ないと言われる地域ではあるが、実際、西日本豪雨災害はじめ、線状降水帯等などに伴う豪雨被害はどこで起きるか分からない。被害が起きないような対策をしていくことで地域の皆さんが安心して住み続けられる。もう1つはやはり人口減少。特に中山間地域を中心に高齢化で人口もどんどん減る中、いかに住み続けられる地域を守っていくのかが大きな課題だと思う。子育て、高齢者にとって医療・介護、あるいは買い物、その足などをどう確保するか、地元の皆さんの話を聞きながら一緒になって考えて具体化していく」

一方、24年10月の衆院選では、政治とカネの問題を巡り、与党の自民党と公明党は大幅に議席を減らし過半数割れに。野党の意見を聞いて連携しなければ政権維持ができなくなりました。

そこで必要となるのが野党と政策のすり合わせです。政策通として自信を持つ加藤財務相は、今の状況を前向きにとらえています。

(加藤勝信財務相)
「われわれから見ると厳しい国会運営だと思うが、逆にいうと新たな状況が生まれたわけで、そこから新たなものが生まれてくる可能性もある。私はポジティブに捉えていく」

加藤大臣は11月、財務省のトップとして最初の大仕事に臨みました。

(加藤勝信財務相)
「本日、国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策が決定をされました。この対策を速やかに実施するため、裏付けとなる令和6年度補正予算の編成作業を進めてまいります」

総合経済対策の規模は物価高騰や能登半島地震対策などを含む約39兆円。現在開かれている臨時国会には、約14兆円の補正予算案を提出し12月中の成立を目指しています。

(加藤勝信財務相)
「経済あっての財政ということで、経済再生をしっかりとした軌道に乗せていく中において財政の健全化を図っていく」

その経歴によって政策通の異名を持つ加藤財務相。国政が大きく揺れる中、岡山が生んだ政治家が、時代が求めるリーダーとして新たな風を吹かせようとしています。

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