衆院予算委で答弁する石破首相(12日午前)

2024年度補正予算案が12日、衆院を通過した。衆院で過半数を持たない自民、公明両党に加え、日本維新の会と国民民主党が賛成し、衆院本会議で可決された。13日から参院で審議を始める。参院は与党が過半数を占めるため、予算案は年内に成立する見通しとなった。

政府は17日の成立をめざす。

国民民主は所得税の非課税枠「103万円の壁」を25年に引き上げると与党と合意したことを踏まえた。維新は自民、公明と教育無償化を議論する協議体の設置で合意したことなどを評価し賛成に回った。自公維3党の政調会長が12日、国会内で会談した。

立憲民主党は12日の衆院予算委員会理事会で、予備費のうち1000億円を復旧・復興に充てたり、歳出総額を1兆3600億円分減額したりする独自案を提出した。自公はこのうち復旧・復興予算の拡充だけを採用した修正案を出した。

衆院予算委では政府案を自公と国民民主、維新の賛成多数で可決した。自公の修正案には立民も賛成した。本会議では自公の修正案を反映した補正予算案を採決し、立民は反対した。

石破茂首相は本会議に先立ち午前中に開かれた衆院予算委で「補正予算が成立すれば、被災地のニーズを踏まえて切れ目なく支援していく」と述べた。

補正予算案は政府の総合経済対策の裏付けとなり、一般会計の歳出総額で13兆9000億円を計上した。前年度の13兆2000億円を上回る。

経済対策の3本柱の一つとして挙げた「日本経済・地方経済の成長」が全体の4割にあたる5兆7000億円を占める。物価対策としてガソリン補助金や電気・ガス代支援のほか、能登半島の復旧・復興に向けた費用を盛り込んだ。

衆院事務局によると、審議入りした予算案が修正され可決されるのは1996年以来で28年ぶり。10月の衆院選で過半数割れした自公は少数与党での国会運営を迫られている。補正予算案の成立に向けて国民民主などに協力を求めていた。

自公国の幹事長は11日、25年度税制改正をめぐる合意書を交わした。「年収103万円の壁」に関し25年から引き上げ「178万円をめざす」と明記した。ガソリン税に上乗せしている旧暫定税率の廃止も盛り込んだ。

国民民主の榛葉賀津也幹事長は国会内で記者団に「この合意書をもって補正予算案に賛成したい」と明言した。首相は12日の予算委で自公国の3党合意について問われると「合意の持つ意味は非常に大きい」と強調した。

維新の前原誠司共同代表は12日、記者団に維新が24年度補正予算案に賛成する方針を示した。自公の修正案で復旧・復興予算が確保されたことや、教育無償化に関する自公維3党の協議体設置も理由に挙げた。

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