衆院予算委で答弁する石破首相(10日午前)

石破茂首相は10日の衆院予算委員会で、前年度を上回る規模となった2024年度補正予算案に対して「最初から規模ありきではない」と強調した。経済対策や能登半島地震の復旧・復興支援に向けて予備費で足りないものが積み上がった結果だと説明した。

自民党の井上信治元万博相への答弁。24年度補正予算案は13兆9000億円にのぼり、23年度の13兆2000億円を上回る。首相はこれまで「予備費で対応を切れ目なくしてきた」と述べたうえで「本格的なものにするには予備費では足りない」と訴えた。

立憲民主党は補正予算案の歳出規模をめぐって「多大な財政出動だ」と批判している。11日にも修正案を提出する方針を示している。

石破政権は20年代に全国平均の最低賃金1500円達成をめざす。首相は「やはり物価上昇を上回る賃金上昇が安定的に続かないと個人消費が上がっていかない」と指摘した。

首相が提唱する「アジア版NATO(北大西洋条約機構)」をめぐっては「力が拮抗しているとき、戦は起こりにくい」と主張した。東アジアの安全保障環境に関し米国の抑止力が相対的に落ちていると評し「力の均衡維持」に向けた取り組みが必要だと求めた。

ロシアのウクライナ侵略について「仮にウクライナがNATOに入っていたとしたらロシアはウクライナを侵略しただろうか。それはしなかっただろう」との認識を示した。

実現に向けては集団的自衛権の全面行使など憲法上の問題などが指摘される。首相は「最初から駄目とか、そういうことを決めつけるのは思考停止だ」と話した。

予算委は首相と全閣僚が出席し、補正予算案に対する基本的質疑を実施した。政府は早期成立をめざす。

10日は自民党に続き立民の議員が質問する。11日には立民のほか、日本維新の会、国民民主党、公明党、れいわ新選組、共産党、衆院会派「有志の会」が質問に立つ。

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