大阪維新の会は8日、性的関係を強要されたとして女性から損害賠償を求める訴訟を起こされ、和解した大阪府岸和田市の永野耕平市長(46)=維新所属=に対し、離党勧告の処分を決めた。永野氏は同日付で離党した。
永野氏は、維新から最も重い除名の処分を受けた場合、市長を辞職する意向を示していた。離党勧告の処分を受けて、永野氏は「重く受け止めたい。今後も市民のためにつとめてまいりたい」とのコメントを出した。改めて続投の意思を示した形だ。
維新は8日、大阪市内の党本部で綱紀委員会を開き、永野氏も出席した。委員会の終了後、維新の杉江友介幹事長は「女性の主張がすべて真実であれば除名に相当する」という前提を示した上で「(双方の)主張の違いについて事実認定ができなかった。永野氏は不倫を認め、性加害は否定した。最大限の説明を尽くしたとみて、除名にはしなかった」と述べ、2番目に重い離党勧告の処分にした理由を説明した。
問題発覚以降、永野氏は「裁判所で秘匿されているため話せない」などと事実関係の説明を拒み、自身には非がないとして、市長を続投する意向を示した。維新に対しては3日付で「一身上の都合」として離党届を提出した。
維新は離党届を預かった上で、4日に綱紀委員会を開いた。永野氏は欠席したが、党としては離党勧告し、説明責任が果たされない場合は除名する方針を決めた。
永野氏は一転して、6日に記者会見し、女性と「不適切な関係」にあったことを認め、「家族に申し訳なかった。世間に対してもお騒がせして申し訳なかった」と謝罪した。改めて辞職を否定し、「これまで以上にしっかりやっていく」と述べていた。
原告側の弁護士によると、女性は2019年に政治活動に関係して永野氏と知り合い、直後から性的な関係を求められたという。精神的に追い詰められた女性は体調を崩し、21年春から休職。心的外傷後ストレス障害(PTSD)と診断された。
和解調書(11月14日付)は、2人が対等な関係ではなく、永野氏が「女性の就職や雇用維持を左右し得る優越的な立場で、社会的な上下関係が形成されていた」と指摘。永野氏が公人で配偶者がいる点にも触れ「性的関係を持つのは自制すべきだったとの非難を免れない」として、女性に謝罪し、解決金500万円を支払う内容で合意した。【東久保逸夫、中村宰和】
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