衆院予算委員会で立憲民主党の野田佳彦代表が要求した参考人招致に回答する安住淳委員長(右)。左から2人目は石破茂首相=国会内で2024年12月5日午前10時39分、平田明浩撮影

 衆院予算委員会は5日、石破内閣発足後初となる集中審議を開いた。自民党派閥裏金事件の真相解明に向け、立憲民主党の野田佳彦代表は旧安倍派の元会計責任者の参考人招致を求め、安住淳予算委員長は「理事会で速やかに協議する」と述べた。予算委終了後に理事会で協議し、自民は反対を表明したが、野党各党は賛成の意向で一致した。理事は計9人で、過半数の5人を野党が占める。この日は結論を出さず、安住氏の下で引き続き協議することになった。

 「政治とカネ」が争点となった10月の衆院選で大敗した自民、公明両党は少数与党に転じ、野党が攻勢を強めている。

 委員会の人数構成が与野党で逆転した上に、委員長には立憲の安住氏が就いた。参考人招致は出席が任意で、与野党合意が慣例だが、多数決や委員長の職権などで招致を求めることが可能な状況となっている。野田氏は記者団に「要求した以上は、ぜひ実現してほしい」と語った。

 野田氏は予算委で裏金事件について、旧安倍派の元会計責任者、松本淳一郎氏(政治資金規正法違反で有罪確定)の刑事裁判で、2022年8月の派閥幹部会合でパーティー券収入の還流再開が決まったと証言し、判決文でも事実認定されたと指摘。一方、今年3月の衆参政治倫理審査会では複数の旧安倍派幹部が、22年8月の会合で結論は出ていないと弁明し、食い違っているとして再調査を求めた。

 石破茂首相は「新たな事実が出たと認識していない」と述べ拒否した。野田氏は元会計責任者の国会招致に加え、旧安倍派幹部について「うそをついた可能性がある。証人喚問も視野に入れる」とも言及した。

 1994年に少数与党だった羽田孜政権下では、野党の自民などが求めた細川護熙元首相の証人喚問が実現している。非自民連立政権から離脱した社会党の予算委員長が、与党が抗議する中、「異議なしと認める」と宣言して押し切った。

 また、立憲の大西健介氏は、裏金事件で有罪が確定した旧二階派の元会計責任者の参考人招致も求めた。

 与野党の争点になっている企業・団体献金については、野田氏が「改革の本丸」として禁止を求めた。首相は「禁止よりも公開だ」と否定し、「(公費を原資とする)政党助成金に過度に依存する政党のあり方でいいのか」と反論した。

 与党内では、設置が検討されている第三者機関の判断に委ねる案が出ているが、野田氏は問題を先送りしようとしていると批判した。首相は「第三者に判断をいただくつもりはない」と否定し、「議論の熟度を上げ、頻度を上げ、どれほど煮詰まっていくか。引き延ばそうとは思っていない」と語ったが、結論を出す期限は示さなかった。【安部志帆子、池田直】

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