選挙ポスターの掲示板に候補者と無関係な広告などを並べる「掲示板ジャック」問題を受け、ポスターの品位保持を求める規定を新設した公職選挙法改正の要綱案が判明した。他人の名誉を傷つけたり、善良な風俗を害したりすることを「品位を損なう内容」として禁止。営利的な広告や宣伝をした場合は100万円以下の罰金とする。与野党は今国会に議員立法として提出する方針だ。
要綱案ではポスターの表面に、候補者の氏名を「選挙人に見やすいように記載しなければならない」と明記。他人や他の政党・政治団体の名誉を毀損(きそん)したり、善良な風俗を害したりする内容の他、特定商品の広告や営業に関する宣伝などを禁止した。
法改正の付帯決議案では、政見放送と選挙公報についても、候補者に「品位保持の徹底」を求めた。他の候補者の発言を聞き取りにくくするなど街頭演説を妨害する行為については「『言論の場』を壊し、表現の自由の範囲を超えた選挙妨害となりかねない」と明記。「悪質な自由妨害に対しては、選挙期間中であっても、法と証拠に基づき厳格な対応に当たるべき」だとし、警察に迅速で適切な対応を要求した。
7月の東京都知事選では、掲示板に最大で24枚の動物の写真や風俗店の広告などのポスターが張り出され、「掲示板ジャック」と呼ばれた。主導した政治団体「NHKから国民を守る党」(立花孝志党首)は、関連団体を含め24人の候補者を擁立。一定額を寄付すれば、自由にポスターを張ることができる権利を譲渡し、物議を醸した。政見放送で服を脱いだり、差別的な発言をしたりする候補者も出た。
4月の衆院東京15区補欠選挙では、政治団体「つばさの党」代表の黒川敦彦被告らが他陣営の選挙活動を妨害したとして、公選法違反(自由妨害)に問われている。【池田直、森口沙織】
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