「性行為を強要された」として女性に提訴され、謝罪と解決金で和解していたことが発覚した大阪府岸和田市の永野市長。

しかし、市長は何も語らず、所属する大阪維新の会や市民から、説明不足を指摘する声があがっています。

■市長が回答を避ける「性行為強要」についての民事裁判

(Q.今回の事案は一定程度、市長に説明責任があると思いますが?)
【岸和田市 永野耕平市長(46)】「“一定程度の説明責任”というのは、どういうことですか?」

岸和田市の永野耕平市長が回答を避けたのは、ある民事裁判の問題です。

大阪府に住む女性が、永野市長から2019年から1年半の間に、何度も性行為を強要されたとして、大阪地方裁判所に提訴し、11月、市長との間で和解が成立しました。

女性が心的外傷後ストレス障害を発症し、提訴に至ったのに対し、裁判の中で永野市長は、「同意の上での行為だった」と主張したということです。

このことについて、女性が和解後に発表、公表したコメントによると…。

【原告女性のコメント】「被告は最初から最後まで同意があったと主張していました。泣きながら拒絶する私を、立場や権力を乱用し、恐怖で抑えつけ、人格否定などの言葉の暴力で精神的に支配し、逃げられないようにすることが同意なのでしょうか」

「私は被告から、異常な執着をされていると感じていました。それから逃れるためには、自ら命を絶つしかないという、極端な選択を考えるまでに追い詰められました」

■和解調書で市長の「優越的な立場」認定 謝罪・解決金500万円を払う和解成立

11月14日付の和解調書によると、大阪地裁は「市長の地位や日頃の言動からうかがわれる影響力、女性の就業歴や年齢などを考慮すると、純粋に対等な関係にあったといえない」「むしろ雇用維持を左右し得る、優越的な立場にあった」と認め、市長の謝罪や解決金500万円を払う和解を勧告し、成立しました。

【和解調書】「被告は公人であるとともに、配偶者を有する身であることも考慮すると、原告と性的関係を持つことは、よくよく自制すべきことであった」

■和解が成立するも市長は…「僕は自分に非があると思ってません」

和解を受けて、女性は…。
【原告女性のコメント】「もう心身ともにぼろぼろです。今でも本当に悔しいです」

一方の市長は…。
【岸和田市 永野耕平市長】「もちろん性加害という事実はございません。僕は自分に非があると思っていません」

自身の口からは何も語らない市長。

■「恥ずかしい」「辞任してほしい」と岸和田市民

岸和田市民からはこんな声が。

【岸和田市民】「恥ずかしい。ちゃんと言わなね、納得しない人もいっぱいいるやろうし」

【岸和田市民】「ちょっとだまされたような気が、人物面で。選挙の前に知ってたら、投票する人はまた変わってきたんじゃないかな」

【岸和田市民】「ほんまのことを正直に言ってほしいと思うし、もし女性の言う通りなら、辞任してほしいと思っています」

【岸和田市民】「無理やりではないと言いたいんだろうけど、そういう問題ではない。(市長として)しないといけないことがたくさんあると自覚の持てる方に、次回は市長になってもらいたい」

■来月3日には市議会への公開説明 大阪維新の会では綱紀委員会を立ち上げ 解決金は29日支払い済み

岸和田市議会の議長は…。

【岸和田市議会 烏野隆生議長】「周りの人らでも、『何しとんねん』という、お叱りの声はかなりいただきまして。今回のことで、岸和田のイメージが悪くなってはいけない。市議会としても、そこに対しては怒りを感じていますね」

12月3日、永野市長に市議会議員全員に対する公開での説明の場を設けることが決まったということです。

永野市長が所属する大阪維新の会の吉村洋文代表は、28日、綱紀委員会を立ち上げ、本人への聞き取り調査を行うと明らかにしています。

また、女性の代理人によると、解決金500万円は、支払期限の29日、支払われたということです。

■「和解したからといって被告を許した訳ではない」と女性コメント

解決金は支払われましたが、それでも市長は「自分に非がない」と発言しています。

【京都大学大学院 藤井聡教授】「『非がない』と言う権利は、彼自身にはあるんでしょうけれども、それを聞いたわれわれがどう判断するかという自由もわれわれにはあって、500万を払ったということは、何の非もない人間が何百万円も払うはずはないと。常識で考えたら、そう思うわけです。『非がない』とおっしゃっているということは、『この人、うそついているんだな』と思う権利は、われわれにはあると思います」

「1人1人がどう感じるかということですが、500万払ったという事実があり、しかも原告女性の文章がある。さらに僕はとても重要だなと思ったのが、今のところの情報の中では、女性が書いた文章について『この人はうそをついている』と市長が言っていないという事実もあります」

「にもかかわらず、『非がない』という言葉だけあるというのは、『この人は何かやましいことをしたんだな』と感じる自由は、視聴者の方にもあると思います」

女性側は「和解などしたくはなかった」と言っています。

公表されたメッセージでは、「本心では和解などしたくありませんでした。心身ともにぼろぼろ。再度、戦っていく気力を奮い起こすことができない状況で、裁判を早く終わらせたいという思いが強く、諦めたというのが実情。「和解したからといって、被告を許した訳ではなく、本当に悔しいです」と発表されています。

■和解文章に「立場を利用した」有権者に説明する責任あるか

永野市長は、「和解内容は秘匿と決められている」から話すことができないと主張しています。

【関西テレビ 神崎博報道デスク】「そんなことないですね。性被害の訴えなので、後から皆さんに公表されないように、その裁判記録が見れないようになっているだけです。別に“和解のことをオープンにしたらだめです”という条項は入っていません。なので市長が言っていることは、ちょっと筋が通らないなと思います」

「市長という優越的な立場を利用して、行為をしたということは、和解の文章にも書かれているので、その市長という立場で、有権者に説明する責任というのは、私はあると思います」

12月3日、市議会議員全員を集めて、市長が公開で説明する場が設けられるということです。

(関西テレビ「newsランナー」2024年11月29日放送)

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