石破首相は29日、衆院本会議での所信表明演説で、「日本全体の活力を取り戻すこと」を重要政策課題の1つとして掲げ、今夏の米の品薄や、「闇バイト」による犯罪、健康保険証の廃止などに触れた。
演説で石破首相は、「日本全体の活力を取り戻す」として、「人口減少によって、地域の活力、そして経済の活力が低下している状況」を指摘し、「この流れを反転させる」などと述べた。
そして、「『地方創生2.0』を起動し、我が国の社会や経済の起爆剤とするため、地方創生の交付金を当初予算ベースで倍増する」方針を改めて示した。
また、「この夏、店頭から米が一時、消えたことは記憶に新しいところだ」と“令和の米不足”に触れ、「人口減少下においても、農林水産業・食品産業の生産基盤を強化し、安定的な輸入と備蓄を確保することなどを通じて、食料安全保障を確保する」と強調した。
社会保障を巡っては、“紙の保険証の廃止”に言及。
「来月2日には健康保険証の新規発行が終了する。マイナ保険証の利用を促進しつつ、持っていない方には資格確認書を速やかに届けることで、これまで通り診療が受けられるようにしている。国民の不安には迅速に応え、丁寧に対応する」と説明した。
さらに、石破首相は、「治安・防災対応」も重要政策課題に挙げた。
治安については、「闇バイト」に触れ、「いわゆる闇バイトによる強盗・詐欺の報道を見ない日はない」とした上で、「他者への慈しみや堅実な努力といった、日本社会の中で大切にされてきた価値観・道徳観を揺るがしかねないものであり、断じて許してはならない」と強調。
「悪質な事件の主体となっている、いわゆる匿名・流動型犯罪グループの検挙を徹底するための取り組みを一層、推進していく」と述べ、「学校での啓発活動」「若者に向けたSNSによる情報発信等の強化」「闇バイトを募集する情報のインターネット上からの削除」にも努める姿勢を明確にした。
防災については、能登半島地震・豪雨での教訓を踏まえた「事前防災」の施策を示し、「再来年度中の防災庁の設置に向け着実に準備を進める」と述べた。
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