政治改革に関する各党協議会の初会合で発言する自民党の渡海紀三朗政治改革本部長(左から4人目)と立憲民主党の大串博志政治改革推進本部長(同5人目)ら各党の担当者=国会内で2024年11月26日午後2時19分、平田明浩撮影

 自民党は「政治とカネ」の問題を受けた政治改革を巡り、企業・団体献金の年間上限額を引き下げ、規制を強化する検討に入る。党幹部への取材で判明した。衆院で与党が過半数を割り込み、野党の多くが全面禁止を求める中、新たな対応が必要との判断に傾いた。一方、与野党は26日、政治改革に関する公開での協議会を初めて開催。28日に召集される臨時国会での政治資金規正法再改正に向け、議論が加速している。

 現行法で企業・団体献金は政党(支部を含む)や、政党が指定する政治資金団体を対象に認められており、年間上限額は資本金などに応じて年間750万~1億円と定められている。

 先の通常国会での規正法改正を巡る審議で、野党は「癒着の温床だ」などと全面禁止を求めた。しかし、自民は企業・団体も社会の構成員であることなどを理由に「禁止ではなく、透明度を上げるべきだ」と応じなかった。21日にとりまとめた自民の改革案でも、企業・団体献金の禁止は盛り込まず、与野党で協議する方針を示していた。

 複数の党幹部によると、企業・団体献金を存続させる考えは維持する一方、年間上限額を1億円から引き下げ、規制を強化する案が出ている。

 党幹部は、個人献金に対する税優遇を拡大し、政党収入に占める個人献金の割合を増やした場合、「企業・団体献金の上限額を5000万円程度に下げる案などが考えられる」と語った。ただ、全面禁止を求める野党の主張とは隔たりが大きく、実効性も不透明だ。

 与野党は26日、政治改革に関する協議会を初めて開催し、自民、立憲民主、公明、日本維新の会、国民民主、れいわ新選組、共産の計7党が全面公開で約75分にわたり意見交換。政党から政治家個人に支出され、使途公開の義務がなかった「政策活動費」については、廃止に向けて早期に法改正する方針でおおむね一致した。

 自民の渡海紀三朗政治改革本部長は会合後、記者団に「しっかりと国民に答えを出さないといけないという意識が共有できた」と述べ、臨時国会の政治改革特別委員会が開催されるまでは与野党協議を続けていきたい考えを示した。企業・団体献金については「企業献金が悪で個人献金が善だという前提には立っていない」とした上で「あくまで個人的な意見だが、検討の余地はまだある」と述べた。【高橋祐貴、川口峻、森口沙織】

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