■斎藤知事、対立候補を支持した市長たちと懇話会

兵庫県の斎藤知事が当選後初めて、県内の市長たちとの懇話会に臨み、先ほど終了しました。

対立候補の支持を表明した市長たちとは、どのような言葉を交わしたのでしょうか?

■「県と市・町が一緒にやっていくことが大事」と斎藤知事

着任から1週間。

斎藤知事は、神戸市で開かれた懇話会で、県内の市長や町長と意見交換を行いました。

【兵庫県 斎藤元彦知事】「何よりも、県と市町のみなさんが連携して、様々な課題、テーマを一緒にやっていくことが大事」

■机をバンバン叩いて知事批判した相生市長、斎藤知事を待ち構えて謝罪

知事選では、県内22の有志の市長たちが、対立候補の稲村和美さんの支持を表明。

「混乱を収束し、県政を前に進めるのは稲村さんが適任」などと話し、相生市の谷口芳紀市長は、机をバンバン叩きながら斎藤知事を批判していましたが…

懇話会が始まる前、入り口で斎藤知事を待ち構えていた谷口市長。

何度も頭を下げ、自身の言動について、直接謝罪しました。


■民意を尊重し、オール兵庫の精神で一緒に頑張る

稲村さんを支持したほかの市長も…

【南あわじ市 守本憲弘市長】「オール兵庫の精神にのっとって、一緒になってその一翼を担ってまいりたい」

【丹波篠山市 酒井隆明市長】「県民の皆さんの知事は、斎藤さんがふさわしいという民意は尊重しなければいけない」

丹波篠山市の酒井市長はこう述べたうえで、「まだ県政の混乱が続くことを心配している。温かい心の兵庫を取り戻してほしい」と要望しました。

さらに、再選を果たした斎藤知事の選挙をめぐり、PR会社がSNSに投稿した内容が、「公職選挙法違反ではないか」と指摘されている問題について、業界歴25年の選挙コンサルタントが問題の本質を語りました。

■公職選挙法違反? PR会社の代表のコラム「私が監修者として運用」 斎藤知事は「あくまでボランティア」

斎藤知事を再選へと導いたSNS上の「ムーブメント」。

斎藤知事の選挙を担当した兵庫県のPR会社の代表が、11月20日に公開したコラムには、その裏側が事細かに明かされていました。

このことをめぐり、今、「公職選挙法違反ではないか」と、新たな疑惑が持ち上がっています。


総務省は業者が報酬を受け、主体的に選挙活動に関わることは「公職選挙法に抵触する可能性がある」としていますが、この代表は斎藤知事から広報を任されたといい…。

【PR会社代表コラム(11月20日公開)】「私が監修者として、運用戦略立案、アカウントの立ち上げ、プロフィール作成」(中略)「プライバシーへの配慮などを責任を持って行い、信頼できる少数精鋭のチームで協力しながら運用していました」

コラムには、斎藤知事とともに打ち合わせをする画像や、PR会社の代表が自ら選挙カーに乗り込んで、ライブ配信を行う姿も。

斎藤知事側はこのPR会社に、チラシのデザイン代などとして、およそ70万円を支払ったことを認める一方で、「(PR会社が)選挙運動の中核にいた認識は全くない、あくまでボランティア」だと回答。

斎藤知事側とPR会社側の主張には大きな隔たりが生じています。


■選挙サポートのプロに聞く「抵触するかどうかの判断は?」 ポイントは「いつ選挙に関わる活動をしたのか」

では今回、このPR会社の活動が実際にあったとすれば、何が問題なのか?

この道25年、選挙サポートのプロフェッショナルのもとを訪ねました。

選挙コンサルタントの小野五月さん(67)。

これまで国会議員や首長などおよそ400人、800件以上の選挙に携わってきました。


■「プロフィール撮影」はOK

まず、コラムに書かれていた「プロフィール撮影」や「ビジュアルの一新」については。

(Q.〇×でいうと「プロフィール撮影」は?)
【選挙総合プロデュース会社 小野五月代表】「もちろん大丈夫。知事選など大きい選挙の場合は、基本的には撮影代も公費請求にインクルードしますし、合法ですね。キャッチフレーズをとか、見た雰囲気で決めるとかもやりますが、全然やっていく仕事です」

では、斎藤知事を再選へと導いたとも言われている「SNS」について。

【選挙総合プロデュース会社 小野五月代表】「政治活動としてXを作る、SNSを作ることはずっと前からOK。もともとこのXを作ったのはたぶん“選挙運動の期間”に作ったわけじゃないと思う」

小野さんによると、法律上の問題となるかどうかの分かれ目は、このPR会社が“いつ選挙に関わる活動をしたのか”。

対価をもらって選挙コンサルトの仕事として活動する場合、「選挙期間中」に得票に繋がる行為は禁止されているといいますが、それ以前だと問題ないそうです。

■「PR会社代表が選挙運動に関わっていた認識が、斎藤知事にあるのでは?」と専門家の指摘

一方でコラムにも掲載されている、“この写真”には問題があるのでは、と指摘します。

(Q.選挙カーに乗る活動は?)
【選挙総合プロデュース会社 小野五月代表】「コンサルティングで選挙期間中に入る場合、基本的に表には出ない。表に出ると誤解まねく。(選挙)運動してるんじゃないかと。斎藤知事自身が『これはボランティアだ』と言うと、これが選挙運動に直接、あるいは間接的に、関わっていることを認めている」

小野さんが注目したのはPR会社の代表が、選挙カーに乗ってスマホで撮影したことなどを、斎藤知事が「ボランティア」と表現したこと。

つまり、“PR会社代表が選挙運動に関わっていた”認識が、斎藤知事にあったことの証ではないかと指摘します。

【選挙総合プロデュース会社 小野五月代表】「われわれが選挙に関わる、これをなりわいにして対価をもらう以上、ボランティアとミックスに入るということは、まずない」
「午前中、ポスターを貼ってもらったのは、『労務として費用を払います』、『午後からはボランティアで』というのは、非常にややこしい。午後の分も上乗せして払っているんじゃないかと(疑われる)」

■公職選挙法を理解していたら紛らわしいのでやっていない

さらに小野さんはこのPR会社代表の行動について、こう疑問を呈します。

【選挙総合プロデュース会社 小野五月代表】「絶対にアウトだとは言ってないんですが、まず公職選挙法を、この方が理解されていたら、紛らわしいのでやっていない。広報の専門家であって、選挙の専門家ではないというのが、欠点なのかもしれません」

再選直後の斎藤知事に持ち上がったこの疑惑。

今後、事態がどう進展するのか注目されます。

■法律の見直しや基準を分かりやすくしていくのも重要

【大阪大学大学院 安田洋祐教授】「何が公職選挙法違反で、そうではないか。そして、選挙プランナーも『明確にアウトではないかもしれないけれども』みたいな感じでしたので、結構基準が難しいのかなという気がしました。

特に、インターネットやソーシャルメディアを使った選挙活動が、当たり前になっている今、おそらく、公職選挙法自体はもうちょっと古い時代の背景をもとに法律としてはできあがってきているので、今回の件と直接関連するか分かりませんが、法律の見直しや基準をもう少し分かりやすくしていくのも重要かなと思いましたね」

■今回の選挙PRはアウトなのかセーフなのか、専門家に聞いた

今回の選挙PR、アウトなのかセーフなのか、元大阪地検検事の亀井正貴弁護士に伺いました。

今後のカギとなるのは、『契約時のやりとりがメールやSNSに残っているか』というのが大事になります。

そもそも残っていない場合は難しい可能性も高まります。

そして、残っている場合にもアウトかセーフか分かれてきます。

例えば、アウトの場合。『業務的には400万円かかりますが、70万円で引き受けます』といったメッセージです。

これは、金額が問題ではなくて、事務員など以外にお金を払うこと自体が買収罪にあたるかと考えられます。

逆に、セーフの場合。『ポスター制作は70万円、選挙の手伝いは無償でします』といったものです。まず、ポスター制作は公費を使うことが認められていますし、選挙の手伝いをボランティア・無償でするということなら罪には問われません。

ただし、この無償の場合でも、もしこのPR会社に勤務実態がある場合は、PR会社の代表が業務を寄付としたという風に考えられ、『業務の寄付』として罪に問われることもあり得るそうです。

■「疑われることはしないのが大前提」

PR会社の社長がなぜこのような投稿をしたのか、まだ分からないところがありますが、27日の定例会見で、知事から何か説明があるのか注目されます。

(関西テレビ「newsランナー」 2024年11月26日放送)

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