パワーハラスメントなどの疑惑を文書で告発された斎藤元彦・前兵庫県知事(46)の失職に伴う知事選が31日告示される。再選を目指す斎藤氏のほか、医師の大沢芳清氏(61)=共産党推薦▽前同県尼崎市長の稲村和美氏(51)▽参院議員の清水貴之氏(50)――ら新人6人がいずれも無所属で立候補する構えで、文書告発問題で半年にわたって混乱した県政の正常化が論点となる見通し。投開票は11月17日。
自民党と日本維新の会の推薦を受け2021年の前回知事選で初当選した斎藤氏は失職後、街頭活動を開始し、SNS(ネット交流サービス)も駆使して草の根の支援を集める。大沢氏は共産などでつくる市民団体が擁立する。
稲村氏は、政党の推薦・支持は自ら求めない方針で、県内の一部首長や一部県議らが支援に回る。清水氏は維新参院議員として2期目だったが、知事選に臨むのを機に離党。維新系の県議らが支援する予定だ。
このほか、レコード会社経営の福本繁幸氏(58)▽政治団体「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志氏(57)――が出馬を表明。29日には、ニュース分析会社社長の木島洋嗣氏(49)も立候補の方針を明らかにした。
出馬表明していた元同県加西市長、中川暢三氏(68)と元経済産業省官僚、中村稔氏(62)は29日、記者会見を開き、候補者乱立の回避などを理由に取りやめを発表した。
独自候補擁立を模索していた県議会最大会派の自民県議団は、最終的に断念。文書告発問題で県政の混乱を招いたとして、斎藤氏の支援はしないことを確認した。県議団の一部は稲村氏との意見交換を経て支援の意思を示している。所属37人中約20人に上るとみられる。ただ、斎藤氏を推す声もあり、党としての対応が迷走している。
文書告発問題は3月、元県西播磨県民局長の男性(7月に死亡)が、匿名でパワハラなどの疑惑を告発したことで表面化。斎藤氏ら県幹部は内部調査を経て、元局長を停職3カ月の懲戒処分とした。元局長を公益通報者として保護すべきだったとの批判もあり、県議会は調査特別委員会(百条委)を設置して究明を続けているが、9月19日には斎藤氏への不信任決議案を全会一致で可決。斎藤氏は同30日付で失職した。【栗田亨】
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