27日投開票された衆議院選挙県内の投票率は49.96%と、50%を割り込み、過去最低となりました。
その背景について識者は、県民の間に政治への不信や諦めが広がっていると見ていて、国会議員の責任は大きいと厳しく指摘しています。
衆議院選挙は、政権与党の自民党が改選前に比べて65議席減らし、野党第一党である立憲民主党が50議席伸ばす結果となりました。
早稲田大学で政治学を研究する江上能義名誉教授は、今回の選挙における有権者の関心を次のように分析します。
早稲田大学江上能義名誉教授
「今回の選挙(の関心)は一つは裏金問題でしたね。もう一つは前回2021年の選挙で安倍政権が大勝利を収めましたね。その安倍政権を継承した政権に対する評価です。国民の怒りというのは大きかったというう風に思います」
政治とカネを巡る問題だけでなく、長く続いた自民党政権の驕りにも不満が集まっていたと指摘します。
早稲田大学江上能義名誉教授:
「前回の選挙で自民党は圧勝したので、その勢いに乗っていろんな政策決定をやって、かなり強引な事をやりましたよね。特に安保とか防衛関係。国会で議論もせず強引に通したと、そういう風なやり方はちょっと国民は、ちょっと違うんじゃないかなと思った」
与党が議席を大きく減らし、野党が躍進したいっぽうで、今回の投票率は全国で53.85%で戦後3番目の低さでした。
また、沖縄においてはさらに深刻な結果となりました。
早稲田大学江上能義名誉教授:
「私が一番心配しているのは、沖縄の投票率が初めて50%を切ったと。象徴的な数字ですね。政治に対する諦め、政治に期待しても無理だと思っている人が2人に1人以上出てきたという事ですね」
今回の沖縄選挙区の投票率は、過去最低の49.96%。これは都道府県別で見ても広島県、群馬県についで、3番目に低い数字となり深刻な状況となっています。
早稲田大学江上能義名誉教授:
「沖縄の人は、全国の人よりも政治に対する期待度とか信頼度とか関心が低いという事ですね。沖縄っていろいろ政治問題を抱えているのに、そういう風になってしまったといういことを有権者もそうですけど、国会議員の人たちは考えないといけませんね」
県内の4つの選挙区では、改選前と選挙後で当選者の顔ぶれに変化はなく、自民党とオール沖縄勢力が2議席ずつ分け合う結果となりました。
いっぽうで、今回の衆議院選挙では変化が見られた点もあると話します。
早稲田大学江上能義名誉教授:
「多党化という状況がありますよね。れいわ」とか参政党とか票が分散して、しかも投票率が低下した。当選した候補者も大勝利と言えないようなほろ苦さがあったんじゃないですかね」
沖縄選挙区での比例代表政党得票率を見ると、前回2021年の結果と比べ、既存政党の得票率が下がる一方、新しい政党が票を伸ばし、存在感が増している事がわかります。
この流れは、今後の県内政局にも影響を与える可能性があるとしています。
早稲田大学江上能義名誉教授:
「長い日本の政治の流れからすると一つのターニングポイントになるかもしれません。政権構造が変わっていく可能性がありますね。それはひょっとしたらオール沖縄と、自公の闘いも、構造的に変わっていくのかもしれません。オール沖縄は最近衰退してばらけてますからね。これまでの選挙とは変わった状況ですね」
2014年の翁長知事の誕生を後押ししたオール沖縄は、全国的にも珍しい野党共闘のモデルケースとされてきましたが、沖縄4区では候補者の一本化を模索するもオール沖縄勢力とれいわとの溝は埋まらず決裂しました。
今回、県選出の国会議員は小選挙区で4人、比例との重複で4人。比例単独で1人と合わせて9人が選出されています。
江上教授は、保革を問わず選ばれた議員には政治不信を招かぬよう、県民の声を国会に届け政治に反映させていくことが求められると強調します。
早稲田大学江上能義名誉教授:
主権者は国民ですからね。国民の怒りを考えるなら、やはり政治改革をきっちりやっていかなきゃなんえですね。自公も立憲民主党の野党も謙虚に考えて政治の信頼を取り戻すような、国民の要求はできるだけ国政の場で反映されるように努力をする。真っ当な姿勢で臨んで欲しいと思います。
沖縄振興をはじめとする県経済の発展や、県民生活の暮らしの向上、普天間基地の辺野古への移設問題を始めとする基地問題の解決など、山積する課題の解決に向けて県選出の国会議員の政治力が問われることになります。
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