今月27日に投開票を迎える衆議院議員選挙。若い世代の投票率について考えます。国政選挙のたびに指摘されるのが若い世代の「低投票率」や「政治離れ」です。2016年の参議院選挙から公職選挙法改正により、選挙権の年齢が20歳から18歳以上に引き下げられたものの、若者の投票率の低下は依然として深刻なままです。総務省のデータによりますと、直近の国政選挙では10代から20代の投票率が全年代の平均を大きく下回る結果となっていて、いわゆるZ世代の有権者の6割以上が投票を棄権していることになります。中でも、年代別の投票率でみると、常に最も低い水準となっているのが20代です。20代では3人に1人しか投票に行かず、選挙離れは社会問題となっています。若い世代にも政治に関心を持ってもらいたい。若者の政治参加を促す活動を続ける団体を取材しました。

衆院選の公示を4日後に控えたこの日。仙台市内の選挙事務所で行われていたのは、立候補者へのインタビューです。

「政治家としての野望とか成し遂げたいことがあれば教えてください」

マイクを向けるのは「NPO法人メディアージ」の阿部優香さん(27)。阿部さんが、選挙に興味を持ち始めたきっかけは、5年前の選挙でたまたま耳にした「街頭演説」でした。

NPO法人メディアージ 阿部優香さん
「もともと2019年の選挙演説で普通に帰ろうとしてただけなのに、大人が本気で思いを語っているぞって思って立ち止まって聞いたのがきっかけで選挙に興味を持ちました」

メディアージは「政治に関心を持つきっかけにしてほしい」と候補者インタビューを原則ノーカットでインターネット配信しています。もともとは東日本大震災の被災地の現状を発信する団体として活動をスタートしたメディアージ。政治について取り上げ始めたのは「政治と震災復興は切っても切り離せない」と考えたからです。

NPO法人メディアージ 漆田義孝常務理事
「例えば、防潮堤を造るのか造らないのかという議論も含めて、もっと関心を持った方がいいなと気づいたところから、ちょっとずつ政治や選挙の発信を始めていった」

議論に関心を持ってほしいという思いに賛同した一人が阿部さんでした。

NPO法人メディアージ 阿部優香さん
「やっぱり政治とか自分の未来に期待しているからだと思います。諦めていたら知りたいとも思わないし関心も持ってないと思うけど、何とかなるんじゃないかとか、変えていけるんじゃないかって小さなところから頑張ろうって思うから続けてるのかなって思います」

「政治に期待する心」を持ってもらいたい。メディアージの活動は続きます。

NPO法人メディアージ 漆田義孝常務理事
「(活動に興味を持ってもらうことは)なかなか難しいですね。10年やってるが全然我々の活動を知らない県民のほうが多いと思うので、地道にこれからも取り組んでいきたい」

こうした団体が発信する情報も活用し一票を投じることの意味を、政治学の専門家は次のように話します。

東北大学 河村和徳准教授
「政治家というのは我々有権者の『代理人』。『先生』ではない。代わりに政治に携わってもらう『代理人』。選挙に行かなかったことで後で後悔するぐらいだったら、増税になってしまって後悔するぐらいだったら、『転ばぬ先のつえ』と私はよく言いますけど、投票所に足を運んで、次の選挙でもう1回投票することができるわけですから、信じて投票するというプロセスが大事なのでは」

河村准教授は、若い世代の投票行動が勝敗を左右する可能性があると指摘します。

東北大学 河村和徳准教授
「古い世代の人たちはたとえば政治と金とかに興味があるかもしれないですけど、若い人たち、特に子育て現役世代からすると生活とか経済が最優先になりやすいと思うので。そのあたりの争点設定、訴える設定を各陣営はどう考えているのかは気になるところ。『世代間の感覚の違い』というのは重要な選挙結果を左右するファクターになるのではないかとみています」

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