自民党派閥を巡る政治資金パーティー裏金事件の実態解明が進まない中で決まった衆院解散・総選挙。新内閣発足間もない臨時国会で解散にかじを切った石破茂首相(自民党総裁)の判断に有権者の「納得と共感」は得られるのか。
「裏金議員が当選すれば、問題がうやむやにされるのではないか」。大阪市淀川区の女性会社員(27)は警戒感をにじませる。
自民は9日午前に党本部で開いた選対本部会議で、事件に関係した安倍派や二階派の議員ら12人の衆院選での非公認を決めた。政治資金収支報告書への不記載があった他の議員は比例代表の重複立候補は認められないが、公認されることになった。
女性は「裏金議員を調査して公認・非公認を決めるなら、もう少し時間が必要ではないか。首相は総裁選で早期解散に否定的だったはずで、今回の対応にはがっかりだ」と批判した。
大阪府枚方市に住む無職の中村登さん(66)も首相に失望したという。「堅実で、正しいことを貫く人だと思っていたが、結局周りの言うことに流された。与党を過半数割れに追い込めば、緊張感を持つのでは」と語った。
裏金事件に伴う処分後に自民を離党した世耕弘成前参院幹事長(61)と、二階派を率いた二階俊博元幹事長(85)の三男伸康氏(46)が立候補を予定する衆院和歌山2区。選挙区の那智勝浦町に住む自営業の60代男性は「なぜ平気な顔で立候補できるのか理解できない」と首をひねった。【中田敦子、面川美栄、大澤孝二】
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