自民党は9日、派閥の政治資金パーティー裏金事件に関わった前議員ら12人を衆院選(15日公示、27日投開票)で非公認とすることを決めた。政党の公認を得られないと、候補者は厳しい選挙戦を迫られるという。公認と非公認ではどんな差があるのか。
最も大きいのが、小選挙区での立候補に限られることだ。政党の公認ではない無所属になるため、政党ごとに争う比例代表との重複立候補ができず、小選挙区で敗北した場合に「復活当選」の道が閉ざされる。
さらに選挙活動への影響も小さくない。総務省選挙課によると、政策などを伝える選挙ビラの枚数や政見放送などで政党の公認候補が有利な仕組みになっている。
たとえば選挙ビラの枚数は、候補者個人は誰でも7万枚が上限となる。公認候補の場合、これに政党が各選挙区で配れる4万枚のビラを上乗せできるため、知名度の向上に有利だ。
選挙ポスターについても、候補者個人は掲示板への掲示に制限されるのに対し、政党は個人宅や商店など所有者の許可を得た建造物なら1000枚を上限に掲示できる。この政党のポスターに候補者の写真を載せれば、より顔を売ることができる。
また、政策を訴える政見放送は、政党にのみ認められている。9分以内に編集した映像をテレビで放送でき、公認候補はこの映像に登場したり、プロフィルを紹介してもらったりすることが可能だ。これに対し、無所属の候補は氏名や年齢、経歴のみの放送に限られ、アピール力が弱まる。
衆院選で自民党の公認を得られなかったある候補者の関係者は「選挙ビラの作製や選挙カーの手配など、これまで党が担ってきた仕事もやらないといけなくなり、負担が増えた。『自民党』と書かれたポスターもはがさないといけないので、大変だ」とこぼした。【米江貴史、島袋太輔】
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