石破茂首相が9日、衆院を解散する方針だ。東京地検特捜部による裏金事件捜査へのきっかけとなる刑事告発をした上脇博之・神戸学院大教授は解散をどう見るのか。
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今回の衆院選は、名付けるなら「裏金解散総選挙」だ。自民党は裏金問題をうやむやにしたいだろうが、選挙戦の争点にするべきである。
石破茂首相が一部の裏金議員を非公認とした対応は、マイナス100点がマイナス95点になったに過ぎない。「相当程度の非公認が生ずる」としているが、例え刑事責任を問われなくても議員には会計責任者に対しての監督責任がある。裏金議員を公認すること自体がまっとうではない。調査対象を2017年以前に広げれば、疑惑が浮上する議員は他にもいるだろう。非公認の選挙区に対立候補を擁立しないことも気概がない。
有権者は裏金問題を「うやむやにさせない」という意思を投票で示すべきだ。裏金作りは議員が個々にやったのではなく、派閥が組織的に行っている点で政党のあり方が問われている。野党共闘が進み「自民対野党」の構図になれば選択肢は見えやすいが、現時点ではそうなるか不明だ。
私は政策本位で投票先を決定する「政策選挙」が理想だと思っている。小選挙区だけでなく比例代表も重視し、裏金防止策を含め自分が求めている政策を実行できる政党に一票を投じてほしい。【塩路佳子】
かみわき・ひろし
1958年生まれ。神戸大大学院法学研究科博士後期課程単位取得退学。専門は憲法学。「政治資金オンブズマン」代表なども務める。著書に「検証 政治とカネ」など。
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