石破茂首相は9日、衆院解散に踏み切る。政府はその後の閣議で15日公示―27日投開票の衆院選日程を正式に決める。物価高対策や政治とカネへの対応などが争点となる。自民党は政治資金収支報告書の不記載があった議員らの非公認問題を巡り調整を急ぐ。
9日午後3時半から開く衆院本会議で解散される見通しだ。首相は同日夜、衆院解散を受けて記者会見に臨む。
衆院選は2021年10月以来で、小選挙区と比例代表を合わせた定数465を与野党が争う。過半数は233議席だ。自民党の現有議席は256で、連立を組む公明党の32議席との合計は288議席になる。
首相就任から8日後の衆院解散は戦後最短となる。首相は8日夜、首相官邸で記者団に「国民の経済や暮らし、安全を守り、災害にも強い日本をつくっていく。それができるのは我々の政権だとの思いの下、国民の審判を仰ぐべく全力を尽くしていく」と述べた。
これに関連し、首相は8日夜、党本部で森山裕幹事長や小泉進次郎選挙対策委員長と1時間半ほど会談した。政治資金収支報告書の不記載があった議員らの衆院選での扱いについて協議した。
党幹部は会談後、公認しない議員が10人以上にのぼるとの見通しを示した。首相や党執行部はすでに萩生田光一元政調会長ら6人を非公認とする方針を決めており、数人を追加する。9日朝に開く選対本部会議で衆院選の1次公認を決める。
首相の所信表明演説への代表質問は8日、2日間の日程を終えた。国会での論戦は代表質問と9日に予定する党首討論のみで、野党は国会論戦を拒んでいると反発した。自民党は党首討論を通例の45分間から80分間に延長して対応する。
首相は7日に党本部で開いた全国幹事長会議で、衆院選で「勝利を収め、公明党とともにこれから先も日本を担っていきたい」と呼びかけた。
主な争点は物価高対策や政治とカネを巡る問題だ。
首相は物価高の影響を受ける低所得者世帯向けの給付金などにより、足元で物価高に苦しむ人を支援すると主張する。地域の実情に即した支援をするための重点支援地方交付金にも言及した。
立憲民主党の野田佳彦代表は中低所得者の消費税負担の一部を税額控除と給付で軽減する「給付付き税額控除」を掲げる。
政治とカネを巡る問題への対応では、首相が7日の衆院本会議で「国民からの信頼を取り戻すため、ルールを守る政治を確立する」と語った。使途の公開が義務付けられていない政策活動費は「将来的な廃止も念頭に、そのあり方の検討や透明性の確保に取り組む」と強調した。
首相は6日、派閥の政治資金パーティーを巡る不記載があった議員は衆院選で比例代表への重複立候補を認めず、一部の議員は非公認とする方針を明らかにした。首相は近く地元の理解を得られているかなどを踏まえ最終的に判断する。
野田氏は企業・団体献金を禁止し、政策活動費を廃止して「金権腐敗政治を終わらせる」と訴える。政治資金を親族に非課税で引き継ぐことを制限し、国会議員の世襲に制約を設ける案も盛り込んだ。自民党の不記載議員への対応についても「ほとんど(の不記載議員)が公認される。国民の理解を得られない」と批判した。
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