自民党総裁選で派閥の政治資金問題を巡る9候補の発言に濃淡がある。政治資金収支報告書に記載がなかった「裏金問題」を抱える国会議員は2割おり、各陣営は総裁選での議員票を意識しながら対応を探る。

小泉進次郎元環境相は6日の出馬会見で、政治資金の問題があった議員の次期衆院選での公認について、説明責任の姿勢や再発防止の取り組み、地元の意見などを踏まえて「新執行部で厳正に判断する」と主張した。12日の演説会では言及しなかった。

石破茂元幹事長は8月24日の出馬会見で「公認にふさわしいかどうか徹底的に議論すべきだ」と提起した。総裁選に向けた政策集では「厳しく反省を求めてルールを守る倫理観の確立に全力を挙げる」との表現にとどめ、12日も公認問題には触れなかった。

加藤勝信元官房長官は12日の演説会で「説明責任を果たし、不記載相当額について国庫に返納する形で、自民党としての責任を果たすべきだ」と話した。河野太郎デジタル相も不記載額の返納を求めている。

高市早苗経済安全保障相は政治資金問題を巡る党処分の見直しに否定的だ。「党内で議論を積み重ねて決着した処分をちゃぶ台返しするのは独裁だ」と主張する。上川陽子外相と林芳正官房長官もこれまでに出た処分を尊重する構えだ。

小林鷹之前経済安保相も「挙党一致で取り組まないと国難を乗り越えるのは難しい」と慎重な立場だ。茂木敏充幹事長は不記載があった議員による返納について「過去に遡及することはなかなか難しい」と述べた。

不記載が明らかになった国会議員は安倍派を中心に党所属議員のおよそ2割の82人にのぼった。総裁選で議員票の取り込みをめざすには、踏み込んだ対応をしにくいとの見方がある。

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