自民党総裁選は小林鷹之 前経済安保担当相が立候補を表明したほか、小泉進次郎 元環境相が立候補する意向を周辺に伝えました。石破茂 元幹事長は24日に、河野太郎 デジタル担当相も26日に立候補表明する方針で、上川外相も推薦人の確保に向けて動いています。

11人が立候補に意欲を示し混戦模様の総裁選を自民党の細野豪志 衆議院議員はどう見ているのか伺いました。

自民党総裁選に11人が意欲

-混戦模様の総裁選をどうみますか?

細野豪志 衆議院議員: 
派閥がなくなった上での総裁選なので、首相としての覚悟がある人が数多く名乗り出てくるということは非常に良いことではないか。あとはやはり政策。一連の政治資金の問題で、これだけ自民党が国民から厳しく批判をされている状況なので、その改革を誰がやるか、ここは大前提になってくると思う

40代の小林氏・小泉氏への評価は?

-新しい自民党を示さなければいけない中で、その象徴に誰がなるのか。40代の2人、小林氏と小泉氏への評価は?

細野豪志 衆議院議員:
2人とも縁がある。もちろん能力もあるし、首相を目指すという明確な意志を若い頃から2人とも持っているので、チャレンジをしていることは素晴らしい

-小林氏や小泉氏から直接相談や連絡は?

細野豪志 衆議院議員:
小林氏からは一度直接電話があった。小泉氏とは結構話す機会があり、少し前に一度話す機会があった際に「これは決断しているな」と思っていたので、立候補は必ずするだろうと思う

-小泉氏は細野さんとも年齢が近いですよね

細野豪志 衆議院議員:
そうですね。世代も近いです

-小林氏は元々同じ二階派にいましたが、どんな支援のお話を?

細野豪志 衆議院議員:
(電話があったのは)会見の前日だったので、おそらく同じ派閥に所属をしていたそれなりの人間関係がある人の全員に電話をしていたと思う。特段、何か具体的な依頼というのはなかったが「首相を目指して頑張ってください」と申し上げた。20日も直接会ったので同じようなことを伝えた。非常に良い表情をしていたので、相当頑張れるのではないかと思う

静岡県内選出・上川氏の応援は?

-静岡県内選出の上川氏も意欲を示していますが、依頼の連絡などはありましたか?

細野豪志 衆議院議員:
一度電話がありました。おそらくインドに行く前日だったかと。「決断しました」と、言葉としては”もう退路を断った”というような言葉だったので、静岡からは長らく首相が出ていないのでぜひ頑張ってもらいたいと伝えた

-「決断しました」とは「推薦人になってください」という受け止めになるのでしょうか?

細野豪志 衆議院議員:
そういう依頼ではなかった。自らが総裁選に出ることについて決断したということを、静岡県内の全ての議員に伝えたのではないか

-自民党静岡県連にも支援の連絡・依頼というのは上川氏からあるのだと思うが、県連として話し合いやすり合わせなどをする機会はあるのでしょうか?

細野豪志 衆議院議員:
会議として行うかはわかりませんが、自民党の国会議員の中ではいろいろな電話が飛び交っている。つい先ほども私のところにある議員から連絡があったが、「さぁどうするか」ということで皆さん悩んでいると思います。

静岡県からの首相は故・石橋湛山 氏以降出ていませんし、首相候補として名乗りを上げた人も長らくいない。県民の中で期待する声は非常に大きいし、外相を経験されているのも非常に大きい。そういった意味でも、我々も考えなければならない。

一方で、これは実質的に首相を選ぶ選挙なので、最もふさわしいのは誰なのかということを判断しなければならないという局面でもある。私ももう少し時間をかけて考えねばなと

自民党総裁に求めるもの

-誰を推薦するかはまだ決まっていない?

細野豪志 衆議院議員:
はい。私の中で判断基準は明確にしている。1つは政治改革を誰がやりきれるか。

もう1つは外交安全保障。日本の周辺環境は極めて厳しいので、それをやり切れるだけの経験と胆力がある人。

そして、もう1つは経済。日本の経済がちょうどいま踊り場に来ているので、ここからさらに上を目指して賃上げも含めて成長に戻れるのか、それともまたデフレに戻るのかという局面。この3つは少なくとも私の中で「しっかりとやれる人だ」と納得ができないとなかなか前には進めないと思っている

-その政治改革・外交安全保障・経済の3本柱に、現状最も近いと感じるのは誰ですか?

細野豪志 衆議院議員:
外交安全保障でいうと経験のある人が揃っている。外相や防衛相を経験していない人でも見識がある人がいるのでかなり悩ましい。もちろん個人的な人間関係だと親しい人も何人かいるが、好き嫌いではなく誰が首相としてやれるかに絞って判断しようと思う

-上川氏はそのポイントで見るとどのような評価に?

細野豪志 衆議院議員:
上川氏はいろいろな条件を整えている人だと思います

脱派閥の総裁選になる?

-一方で今回の総裁選は「派閥なき総裁選」であることが注目点でもあります。麻生派以外は解散を決めていますが、派閥や旧派閥の影響は?

細野豪志 衆議院議員:
個人的な人間関係は派閥ということで毎週集まっていたので今も残っている。仲間からの連絡は頻繁にある。ただ「総裁候補はこの人で」というような、縛るような動きはない。(派閥解散は)タイミングとして結果としては良い時期だったかと。ひとりひとりが自分の信念に基づいて判断できる環境が整ったということで、まさに脱派閥の総裁選になっていると思う

-細野さんの経歴を考えると無所属で二階派に入り、その後自民党に入った。言い換えれば派閥の恩恵を受けた1人であるかと思いますが、改めて派閥への考え方、解散が決まった今、どうお考えですか?

細野豪志 衆議院議員:
自民党の国会議員は衆議院・参議院あわせると360人以上いる。この360人がそれぞれバラバラに活動するとまとまりにくい面がある。今回の総裁選を通じて、政策面である程度考え方が近い者同士がしっかりと勉強会をやっていく、そういった流れは決して悪いことではないと思う。

ただ、従来のようにお金の配分を決めるだとか、ポストの配分をそこで割り振るだとか、そういったことになってくるとまた派閥が戻ったとなってしまうので、そうはしない方がいい。そうはならないとも思う。

-推薦人を集めるというとどうしても旧派閥に頼らざるを得ないところもあるかと思いますが?

細野豪志 衆議院議員:
それはない、それぞれが個人で判断しているので。これまでは派閥で逃げられた部分がおそらくある。「この派閥に所属しているので、あなたのことは応援したいが出来ない」という。これはある意味で若干楽な部分もある。

ただ、首相を選ぶというのは国会議員としては最高の判断、重たい判断。この重たい判断を我々国会議員がきっちりすることによって、国民から負託された責任を果たす。その自覚をそれぞれの議員が持つべきだし、その判断についても責任を持つべき

総裁選で自民党は変わる?

菊地幸夫 弁護士:
政治改革が投票基準の1つということですが、裏金問題などがあった自民党が変わるような総裁選になるという見通しはあるのでしょうか

細野豪志 衆議院議員:
それが出来ないと自民党は国民から厳しい評価を受ける。岸田首相が辞めたから物事が終わったというわけではないですから、そのように国民の皆さんは思っていないし、我々も思っていない。

いくつか課題があり、それに向かって責任を果たせるかどうか。すなわち派閥をどのように考えるか。他にも制作活動費の透明性をどう確保していくのか、これも極めて重大な問題。文書交通費の問題も残ってますね。仲間なので若干苦しいところだが、処分を受けている人の処遇をこれからどうしていくか。これは逃げられない課題。これを誰が実現できるのか、ここは他の政策以前の大前提になってくる

石破氏や河野氏の評価は?

-世論調査で毎回上位に上がるのが石破氏、河野氏。世間一般の評価と党内での評価で違いもあるのでしょうか?

細野豪志 衆議院議員:
石破氏とは何度か食事をしたことがあるが、夜遅くなるとソワソワしだす。宿舎に帰って資料を読みたいように感じる。これは永田町では珍しい。議員同士とはお互いに膝突き合わせて愚痴も含めて言い合う、その中で貸し借りが生じたりすることもあるが、そういうところが少ない人。そういう人をどう評価するか、私も悩んでいる。

自民党がいろいろなしがらみを乗り越えて決断をしていく時期なのか、人間関係、お世話になった人に引っ張られるのか、悩ましい判断。そのあたりが問われてくるのでは

-河野氏については?

細野豪志 衆議院議員:
河野氏は非常に切れ味が鋭い。思い切った改革をする。閣僚としてはワクチンに関しても立派に仕事をされたと思っていて、いくつか一緒に仕事をしたことがあるが、「この人は自民党らしくないな」と感じた。良い意味でそういうところのある人。その良さを今回の総裁選で出すのかどうか、そこは見極めが必要かなと

-河野氏、石破氏からアプローチの連絡はありましたか?

細野豪志 衆議院議員:
2人とも個人的に関係があるので、それぞれ電話がありました

-細野さんにとっては今回が初めての総裁選。どのように考えて1票を投じる?

細野豪志 衆議院議員:
3年前は自民党籍がなく総裁選には参加していませんが、二階派に入ってかなり時間が経っているので自民党員を集めていたんです。私自身には票はないけれども私が集めた2千数百人の人から問い合わせがあって、半分くらい参加していたような感じになっていた。今回はさらに自民党員が増えて、私のところに3500人集まってくれた。なので今は党員の皆さんの声にもできるだけ耳を傾けている。

国会議員である私の1票は一般の党員の人よりも重いので、そういった人の声にも耳を傾けて、あとは自分の信念と責任を持って判断していく。派閥がなくなったので、この1票を誰に託すのかという責任は全て自分にある。他に逃げることができないというのは厳しいし大変ですし悩ましいところでもあるが、非常にやりがいを感じている。大事な判断だと自覚している

立憲民主党の代表選をどう見る?

-細野さんにはこちらも聞きたいのですが、立憲民主党の代表選挙も9月23日にある。こちらへの関心は?

細野豪志 衆議院議員:
結構気になっていて、個人的には泉健太 代表は私と世代も近く一緒にいろいろな仕事をしてきたので頑張ってもらいたいが、共産党との関係も含めて路線を決め切れてない印象もある。ここで中途半端はないと思うので現実路線に舵を切っていけるかを見ていきたい

野田氏が出てきそうな気もしていて、私の議員会館の部屋の反対側が小沢氏だが、結構頻繁に会っていたので。小沢氏と野田氏というと、なかなか自民党も大変だと思う

-自民も立憲も9月にトップを決める選挙があるので大きな節目、注目のタイミングになってきますね

細野豪志 衆議院議員:
そうですね。国民の信を問うタイミングも近いと思うので、それに値するしっかりとした総裁選にしたいし、立憲民主党にもしてもらいたい。

一部の声にある、「選挙だから、この人なら」という選挙向けの顔という発想をしていると足をすくわれると思う。しっかりと中身を見極めて判断をすることが重要ではないかと考えている

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