お盆休みの真っ只中に列島を駆け巡るニュースとなったのが、岸田総理大臣の次の総裁選不出馬表明でした。支持率低迷にあえいだ岸田政権のおよそ3年を振り返ります。

《衆議院本会議》
「岸田文雄君を内閣総理大臣に指名する」

2021年10月、第100代の総理大臣に選出された岸田文雄氏。
広島県選出では宮澤喜一氏以来となる被爆地選出の総理誕生でした。

【岸田文雄首相】
「唯一の戦争被爆国として米国を始めとする核兵器国を核兵器のない世界への出口に向けて引っ張っていく」

就任後初めての記者会見では核なき世界の実現に向けた決意を力強く語りました。
就任した勢いで臨んだ衆議院選挙では大勝を果たし、与党が「絶対安定多数」を確保。安定した政権運営に向け、走り出した岸田政権。

【岸田首相】
「唯一の戦争被爆国である日本の総理大臣として、私は広島ほど平和へのコミットメントを示すのにふさわしい場所はないと考えています」

2022年5月には来日したアメリカのバイデン大統領との共同記者会見で、1年後に控えたG7サミット=主要7カ国首脳会議を広島市で開催すると表明。
内閣支持率も好調に推移する中、参議院選挙に臨みます。

しかし、衝撃の事件が発生。
総理の後ろ盾でもあった安倍元総理が銃撃され、亡くなったのです。
この安倍元総理の葬儀を「国葬」として執り行ったことが、国民の賛否を二分する結果となりました。

また、この事件をきっかけに旧統一教会から自民党の議員が支援を受けていたことが相次いで明らかになり、内閣支持率は急落します。

そうした一方で、岸田総理は総理就任時から「ライフワーク」と語る「核兵器廃絶」への取り組みを加速させます。
2022年8月にはNPT=核拡散防止条約再検討会議に日本の総理大臣として初めて出席し、演説しました。

【岸田首相】
「被爆地ヒロシマ出身の総理大臣としていかに道のりが厳しいものであったとしても核兵器のない世界に向け、現実的な歩みを一歩ずつ進めなくてはならないと考えます」

ロシアのウクライナ侵攻が続く中、去年3月にはウクライナを電撃訪問。
ゼレンスキー大統領と面会し支援する意思を直接伝えました。

そして迎えた、G7広島サミット。
核兵器を保有するアメリカ、フランス、イギリスを含むG7の首脳が被爆地ヒロシマに初めて顔をそろえ、原爆慰霊碑に花を手向けました。

また、ウクライナのゼレンスキー大統領の電撃参加も実現させ、世界の目がヒロシマに注がれました。
サミットでは初めてとなる「核軍縮」に焦点を当てた独立文書「広島ビジョン」を発出。

【岸田首相】
「77年間の核兵器不使用の重要性について一致するとともに、核戦争に勝者はなく核戦争は決して戦ってはならないことを確認しました」

サミットを成功させたと自信を伺わせる岸田総理。
しかし、去年の秋、自民党の派閥のパーティーを巡り、一部の議員が裏金を受け取っていたことが明らかになり、世論の批判が強まります。

【岸田首相】
「政治の信頼回復のために宏池会解散する」

派閥の解散を表明したほか、総理自ら政治倫理審査会に出席。
また、政治資金規正法の改正にも取り組みましたが、国民の信頼を回復するには程遠く、支持率は低迷するばかり…。
身を引く決断に至りました。

【岸田首相】
「私が身を引くことでけじめをつけ、総裁選に向かっていきたい」

およそ3年間の岸田政権に広島の有権者は・・・

【有権者(70代)】
「やり残したことが結構ある気がする。途中で放り投げた形になってしまってG7やった程度かなということくらいしか残らない気がする」
【有権者(40代)】
「(自民党を)変えるというのは大変なこと。でも変えたいということで身を引いたというのも素晴らしいと思っている」
【有権者(30代)】
「G7サミットでいろんな国の人を呼んでくれたこと。そういう面では良いことをしたとは思う。世界的にも」

<スタジオ>
G7サミットとかウクライナ訪問などの実績もありながら、自民党内部の問題も密接に絡んでの3年ということになりましたね。

【コメンテーター:元カープ・山内泰幸さん】
「自民党内の裏金問題などで足を引っ張られた感じがあります。この3年間ですごく印象に残っているのはやはりG7サミットです。広島で開催されたことで世界の中心が広島にあるのかと感じられました。広島選出の総理大臣にだったので、もう少し長くやってもらいたかったなという感じがします」

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