立憲民主党千葉県連有志からの代表選への立候補要請書を受け取る野田佳彦氏(左)=千葉市中央区で2024年8月19日午後1時3分、柴田智弘撮影

 立憲民主党の野田佳彦元首相(衆院千葉4区選出)は19日、党の中堅・若手国会議員や千葉県連所属の国会議員、地方議員らと相次いで面会し、9月に実施される党代表選に出馬するよう要請を受けた。ただ、野田氏はこの日も代表選には慎重姿勢を崩さず、泉健太代表と枝野幸男前代表の出馬が取り沙汰される状況で、10人以上が意欲を示している自民党総裁選に埋没する懸念が高まっている。

 19日午前、野田氏は国会内で党の若手・中堅で構成するグループ「直諫(ちょっかん)の会」の重徳和彦会長ら有志と面会し、出馬に向けた要請を受けた。面会後、重徳氏は記者団に、グループの政策と野田氏の考えには「相当一致することが多い」と説明。政権交代に向けて、外交なども含む政権運営を見据えた態勢づくりが必要だとし「経験、安定が重要。自民党から離れた層を取り込むこともできる方だ」として、野田氏を選んだ理由を述べた。ただ、野田氏が出馬しなかった場合は「代表選挙への出馬、党の運営については、いつでも担える覚悟と心構えを持っている」とも述べ、自身の出馬に含みを持たせた。

 野田氏はその後、千葉市中央区の同党千葉県連本部で、県連に所属する谷田川元衆院議員や小西洋之参院議員、県議など約40人から立候補要請を受けた。県連代表の奥野総一郎衆院議員によると、首相経験があり、野党連携の実現に期待できることが理由という。

 野田氏は「思いはしっかりと受け止めた」として、記者団に「(次期衆院選は)政権交代という言葉にリアリティーのある、めったにないチャンス。そのために自分が何ができるか、よく熟慮したい」と話した。

 再選への出馬を検討している泉氏は19日、野田氏への出馬要請が相次いでいることについて記者団に「先輩たちに頼りたくなるという気持ちはわからないではない」と述べた上で「先輩方の経験や実績は百も承知だからこそ、中堅や若手にどこまで担うのかということも求められている」と指摘。自身の対応については検討中とするにとどめた。

 一方、立候補を表明している枝野氏は自身が所属するグループの会合に出席し、出馬を決断した経緯や政策について説明した。会合ではグループとしての対応は決めず、代表選の構図などを見極めた上で会合を開き方向性を決める見通し。

 代表選に向けた動きが活発化する一方で、同じ9月下旬にある自民党総裁選への埋没を懸念する声もある。野田氏は18日のフジテレビ番組で「総裁選でメディアジャックされている。どうしたらいいかを真剣に考えていかないといけない」と懸念を示した。

 小沢一郎衆院議員の事務所も19日、ネット交流サービス(SNS)で総裁選候補者のプライベートなどを伝えるテレビ報道が増えていると指摘し「盛り上がったところで解散総選挙をやれば楽勝!という作戦。まただまされるかという問題」などと投稿した。【田辺佑介、柴田智弘、林帆南】

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