上川外相は24日の衆院外務委員会で、中国・香港で民主活動家が香港国家安全維持法違反に問われている裁判で、被告の「共謀者」として元衆院議員の菅野志桜里氏が名指しされていることについて、「主権侵害に当たるか状況を見る必要がある」と述べた。

この裁判は、中国政府に批判的な香港紙「リンゴ日報」の創業者、黎智英氏が、外国勢力と結託したとして香港国家安全維持法違反に問われているもので、検察側は冒頭陳述などで、菅野志桜里氏について2020年に別の香港民主活動家と接触するなどしたことを理由に、黎氏の共謀者として指摘している。

外務委員会の質疑の中で松原仁衆院議員は、香港国家安全維持法が、香港の住民でない人が香港以外の地でこの法律に違反する行為をした場合にも、法律が適用される仕組みになっていることについて「火星にいて中国の悪口を言っても捕まる、俗称火星法と呼ばれている」と批判した。

その上で松原氏は、菅野氏が裁判で名指しされたことについて国家安全維持法の域外適用と関係あるか質し、上川外相は「他国・地域の法律と解釈運用について、政府としてお答えをする立場にはない」とコメントしつつ、「菅野氏については香港国家安全維持法違反に問われるような状況にはなっていないと理解している」と述べた。

さらに、上川外相は「それが我が国の主権の侵害に当たるかも含めて、個別具体的に状況を見る必要がある」と述べ、状況を注視する考えを示した。

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