兵庫県の斎藤知事のパワハラ疑惑について、7日も大きな動きがありました。

まずは、兵庫県内の市長らの異例の臨時会合が行われ、停滞する県政に苦言が続出しました。

■22の市長らが出席した臨時会合で苦言が続出

【川西市 越田謙治郎市長】「私は県政の状況は非常に危機的な状況で1日も早く体制をしっかりと取っていただきたい」

7日に開かれたのは“異例”となる臨時の市長会合。

兵庫県内22市の市長が出席し、斎藤知事の疑惑で混乱する県政への対応を話し合いました。

事の発端は今年3月、兵庫県の元・西播磨県民局長(60)が、斎藤知事のパワハラや物品をねだった疑惑などを告発する文書を一部の報道機関などに配布したことでした。

疑惑を巡っては、これまでに告発文の調査に関わった副知事が「県政に停滞と混乱を招いた」として辞職。

さらに、理事が体調不良で降格したほか、総務部長までが病欠で不在となるなど、幹部不在で「県政の運営」に大きな影響が出ています。

7日の市長会合でも、「市政に影響がある」として苦言が続出する事態となりました。

【尼崎市 松本 眞市長】「さまざまな部長級が休んでいる。枢要なポストがいない。リーダーが調整をしてまとめていく各施策の推進には相当支障があるのではと思っていて、年末の予算編成に向けていくと、横断的な課題はほとんど進まない、理想通りには進まない」

【川西市 越田謙治郎市長】「体制整備をするのはいつ来るか分からない災害等も含めると、危機的な状況が続くのは県民・市民にとって大きなリスクである」

【加古川市 岡田康裕市長】「(斎藤知事は)どんどんと発言・発信をしていただきたい。反省点があれば謝罪をするというのが然るべきだと思います」

告発は「法律上保護される外部通報にはあたらない」と知事

こうした市長の声に、斎藤知事は…。

【兵庫県 斎藤元彦知事】「県政をやって行く中で体制を立て直して、連携をしっかりやっていけるように私も最大限努力したいと考えている」

また、7日、斎藤知事が強調したのは「調査の正当性」です。

元県民局長が告発した時点で、「公益通報」にあたるという指摘がある中で、斎藤知事は「告発文はそれに該当しない」と改めて主張しました。

【兵庫県 斎藤元彦知事】「(元局長は)文書は噂話を集めて作成したものであると説明しています。関係者による信用性の高い供述は存在しないと報告を受けていました。その後6回にわたり、人事当局が事情聴取をしていますが、その説明が変更されることはなかった。信ずるに足りる相当の理由が存在したとは認められず、法律上保護される外部通報にはあたらないと認識しております」

元局長は告発文を配布した後の今年4月に、県の公益通報窓口にも疑惑を通報していましたが、人事課はその後、元局長を停職3カ月の懲戒処分にしています。

「公益通報」の窓口にまで通報したにもかかわらず、県による処分が下されたため、その妥当性が問われています。

「県がしっかりしてくれないと」と前・明石市長

7日に開かれた兵庫県内の市長の臨時会合では、県政について厳しい意見が上がりました。

まず、川西市長は「非常に危機的状況。体制を立て直すべき」。

明石市長は「県政の混乱は望ましくない。早く問題解決をしてほしい」。

さらに、西宮市長は「これまでもコミュニケーションに課題があった」。

最後に、尼崎市長は「将来的な政策立案に課題があるのでは」と、各市長がそれぞれに苦言を呈しています。

【吉原キャスター】「前・明石市長の泉さんは、こうした市長の意見をどのように受け止めているのでしょうか」

【前・明石市長 泉 房穂さん】「市長をやっている立場からすると、県がしっかりしてくれないと、県と一緒にやる事業って結構多いんですよ。予算についても県と市で半々という事業も多いので、県がするかしないか決まらないと、市としてはやっていいかどうか判断に戸惑うので、県政がしっかりしてもらわないと、市民生活にも影響が及ぶという観点から、市長が声を上げたくなるのはもっともだと思います」

【吉原キャスター】「泉さんもかつて市長会に参加していた?」

【前・明石市長 泉 房穂さん】「もちろん、私も市長の時代はずっと参加していましたし、市長会はお互い情報共有するんですが、今回のテーマは県と市の連携なんですけど、西宮市長も言っていましたが、今回だけじゃなくて、斎藤知事になった後、以前と比べて県と市の連携窓口がなくなってしまった形だったので、市としても困っている方が多かったと思います。さらにそれが今の状況で。実際は斎藤知事の場合は、いわゆる“4人組”といわれる副知事とか総務部長とか理事とかが中心に意思決定をしていたのが実質だったので、その方々がいなくなった以上、実際の県として意思決定がどうなっていくかに不安はあると思いますね」

■県立大学の無償化 幹部不在で来年度以降未定…受験生混乱などの影響も

【吉原キャスター】「実際にこんな影響も出ています。兵庫県立大学の無償化について、来年度以降も続くのか、幹部不在で未定となっていて、受験生などから問い合わせが殺到しているということです」

【前・明石市長 泉 房穂さん】「これもそうですけど、本当に県がしっかりしないと普通の生活にも影響が及んできますから、そういう意味では早急に今の県の在り方は立て直してほしいですね」

【吉原キャスター】「県民・市民に影響が出てきているということです。また、斎藤知事が7日の会見で、亡くなった元県民局長が報道機関などに告発文を配布、いわゆる外部通報したことが公益通報にあたらないと話していました。これについてはいかがでしょうか」

【前・明石市長 泉 房穂さん】「(公益通報に)あたるでしょう。つまり公益通報というのは公益を目的にして調べてくださいということですから、当然、調査は第三者がするべき。その調査の結果を踏まえてから対応するということを、第三者じゃなくて身内のちょっとした調査でもういきなり処分ですから。あれもこれも手続きが間違っているにもかかわらずまだ開き直ってますから。さすがにどうかしていると正直、思いますね」

【吉原キャスター】「本来は保護されるべき対象だったということでしょうか?」

【前・明石市長 泉 房穂さん】「当然です。保護されるべき方が保護されず、結果的に尊い命が亡くなっているわけですから。その重みをもっと受け止めるべきだと私は思います」

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