政府は能動的サイバーセキュリティーの導入に向けた議論を進めている=ロイター

政府は6日、サイバー攻撃を未然に防ぐ「能動的サイバー防御」の導入を巡り、法整備に向けた有識者会議のこれまでの議論の中間整理を示した。国が平時から監視する対象を原則として海外発の通信に制限する考えなどを盛り込んだ。

同日開いた有識者会議でとりまとめた。政府は関連法案を秋の臨時国会にも提出する方針で、中間整理をふまえて議論を加速する。憲法21条の「通信の秘密」との関係などの論点が残る。

河野太郎デジタル相は会合で「最近、民間企業への大規模なサイバー攻撃も明らかになってきている。日本のサイバー対応能力の向上も、ますます急を要する課題となってきた」と述べた。

政府が能動的サイバー防御を導入するのは海外からの攻撃による被害を防ぐことが前提にある。攻撃の兆候などがないか監視する対象から国内間の通信情報を外す。通信の秘密との整合性やプライバシーへの配慮を求める意見を踏まえた。

海外からの通信もむやみに監視するわけではない。個人を特定できない時間や量といったメタデータ(属性情報)を対象とする。

電力、ガス、航空、鉄道など政府が指定する15業種の「重要インフラ」を担う民間企業に、攻撃の被害を政府に報告するよう義務づける。重要インフラが止まると市民生活や経済活動に大きな損害を及ぼすため、情報を素早く集めて被害を最小限に抑える。

政府は臨時国会への法案提出に向けて詰めの作業を急ぐ。自民党も安全保障調査会やデジタル社会推進本部などが合同で開催する会議で議論を重ねる。政府・与党で本格的な導入に備える。

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