秋田県は、2023年の記録的大雨で浮かび上がった課題をまとめ、公表した。報告書は、「平時における備え」「初動対応」「被災者支援・生活再建支援」と段階に分けられている。

例えば、想定を超える大雨により多くの情報に対応しなければならず、情報共有や迅速な避難判断・避難情報発令ができない市町村があったこと。職員が現場の対応などに追われ、スムーズな災害対策本部の運営が困難な市町村があったことなどが課題に挙げられた。

こうした課題について県は、情報収集の役割分担などを改めて検討し、体制の整備を促す。事前に他部署に応援を依頼し、具体的な役割分担や進め方などを確認するという方針を示している。

さらに、共通の課題として挙がったのが「マンパワー不足」だ。今回の教訓を県は今後にどう生かすのだろうか。

県の菅生淑子危機管理監は、「災害対応をする人員にも限りがある。それを超えるような被害だった」と「マンパワー不足」に陥った背景を振り返った。

その上で「災害が激甚化する中、県や市町村で部署を超えた連携がさらに必要になる」と話す。

 秋田県・菅生淑子危機管理監:
「単独の部署だけで対応するのではなく、関係機関・部局と連携して、協力しながら対応することが非常に重要だと思う。市町村・県の職員の災害対応力の強化が今後も必要になってくる。市町村職員と共に研修などを開催して、適切な対応を学んでいきたい」

2023年の記録的大雨の際は、被災者が生活再建のための支援制度を利用する際に欠かせない「罹災(りさい)証明書」の交付で「マンパワー不足」が顕著に現れた。

「罹災証明書」は、市町村が一定の被害を認めることで発行されるが、その調査に時間がかかった。

県は毎年、保険会社の協力を得て、市町村の職員を対象にした調査の研修会を開催しているが、今後は調査に民間企業の力を借りる方針だ。

 秋田県・菅生淑子危機管理監:
「行政の職員だけでは、去年のような大規模な被害になるとなかなか手が回らない。保険会社などの民間企業の調査情報を行政に提供してもらって、認定に活用する調整を進めているところ」

人口減少に伴って行政職員の数が減る中、激甚化する災害にどう対応するかも大きな課題となる。

 秋田県・菅生淑子危機管理監:
「行政職員だけでは難しいことが想定される。ある程度の水・食料を備蓄するような『自助』、町内会・自主防災組織などでの助け合い『共助』と、行政の『公助』の3つを組み合わせて対応することが、これからはますます必要になると思う」

県には今後、2023年の教訓を確実に生かしていくことが求められる。ただし、災害時は行政職員も被災者となる。行政に頼りきりではなく、県民一人一人が、日頃からの備えやいざという時にどう行動するか確認しておくことなどが、さらに重要となりそうだ。

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